写る姿はありのまま

「私は夢を見ることを生業としている」
   ----- スティーブン・スピルバーグ
       (アメリカ人、映画監督、1947年12月18日生まれ)

* * * * *

【アクティビティ】

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SFMOMA(サンフランシスコ近代美術館)へ、写真家のHenri Cartier-Bressonの展覧会を観に行って来ました。

フランス生まれで、ライカを手に世界中を巡っては、スナップ写真から報道写真、肖像写真まで。
徹底して白黒で撮り続けた、20世紀を代表する写真家、と言われています。
写真という世界には、じゃない、にも、大変無知な私。
ネットでこの展示会のお知らせを見るまで、全く彼のことを知りませんでした。

が、そこに掲載された見本の写真のうち、少なくとも3枚は既知のものであったこと。
そして、その白黒の世界から、自分でも思いがけないほど目が離せなかったこと。
加えて、samanthaさんのブログでも、素敵に紹介されていたので。

以上から、これは絶対行きたいなあ、と。
ちょうどアンティークフェアのフォトショップのブースで、やはり彼の写真を目にして、印象に残っていたお嬢が、大いに乗り気だったので、家族そろって行ってきたのです。




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彼の写真は、それこそGoogleの画像検索などをしていただければ、山のように出てきます。
そのうち、見覚えがある、と思った写真が何枚あることか。
それほど有名な方でありながら、作品は知っていても、ご本人の名前も知らなかったなんてなあ……と、ちょっと申し訳なく思いつつ。
彼の残した言葉を拝読したら、それでいいのだ、というニュアンスを感じ取り(希望的解釈)、写真を覚えていることが何より、と思い直したり。ええ、自分に都合の良いB型です。

彼の写真のキャリアは、1929~1989年。
60年もの作品の歴史を、特に1932~73年の間に焦点を当てて、300点もの写真が展示されています。

以下は恒例(?)、展覧会の覚書。
読み飛ばしてください、というのもまた恒例。
各コーナーのタイトル、及び、個人的に印象に残った作品です。

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Early Work
 Hyères, France
 Behind the Gare Saint-Lazare, Paris
 Valencia
 Arsilah, Spanish Morocco
 Belgium

After the War, End of an Era
 「LIFE」, 「Paris Match」
 Near Strasbourg, France
 New York
 Dessau, Germany
 Gandhi's Funeral Fire, Delhi

Shanghai

Old Worlds : East
 Shanghai
 Beijing
 Baroda, India
 Sringar, India

Old Worlds : France
 Bastille Day, Place de la Bastille, Paris
 Market in the Rue Longue, Marseille
 Paris (1953)
 Switzerland (1978)

New Worlds : USA
 「Vogue」
 New York (1959)

Photo Essay : The Great Leap Forward, China (1958)
 「LIFE」 : Red China Bid for a future (Jan.5, 1959)
 Tsao Yang
 Flyswatters

New Worlds : USSR (1972~73)
 Moscow (1954)
  1953年のスターリンの死後、初めてソ連に入った写真家

Photo Essay : Bankers Trust Company, New York (1960)

Portraits
 "How long the session would take?"
 "Longer than the dentist, but shorter than the psychoanalyst."

 Coco Chanel (1964)
 Balanchine

Encounters and Gatherings
 Charonne

Beauty
 Nara, Japan (1965)

Modern Times

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「たとえ相手が静物だとしても、用心深い狼のように、そっと主題に近づいていかなければならない。眼光は鋭く、それでも足取りはしなやかなビロードのように。押し合ったりしてもいけない。釣りをする前に、水面を叩かないのと同じだ。もちろん、マグネシウムのフラッシュを使った写真もだめだ。たとえ無いに等しくても、自然光を尊重すべきだ。そうでなかったら、写真家は鼻持ちならない攻撃的な人物だと見なされるだろう」

こういう信念の元に撮り続けたブレッソンは、その時・その一瞬を、鮮やかに切り取って、印画紙の上に固定してみせて。
1952年に出版された、「決定的瞬間(The Decisive Moment)」という写真集のタイトルは、ブレッソンという写真家の枕詞としてだけでなく、写真という存在の代名詞格にまでなりました。

彼の写真の多くに見覚えがあったのも道理。
実は私、「LIFE」誌を眺めるのが好きで、学生時代、図書館で度々コレクションを眺めておりまして。
その時代と人生を、言葉という聴覚の表現ではなく、写真という視覚表現でもって、一瞬で脳に存在をつきつける。
尚且つ、それらが白黒であったからこそ、余計に脳裏に焼きついた写真が多々あって。

知らなかったとはいえ、実は彼の作品に魅せられてから、それなりの年月が流れていたようでございます。

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私自身は、写真を撮るのも撮られるのも、相当に苦手な分野でありまして。
それも風景や静物ならともかく、特に”瞬間”を撮ることに関しては、望む通りに撮れた試しがありませぬ。いやまったく、オノレのカメラの前に土下座して謝りたい。

望む通りに、と言ってしまうのは、その瞬間、カメラを構えながら、こういう具合であったなら、と思い描くものが漠然とあるからで。
それは例えば、その人の表情であったり、手の動きであったり。木々の葉の揺れ、斜めから射す光など、人間が作り出せない何か、を探していたりして。

その一瞬の出会いの為に、どれだけの時間を割かなければならないのか。
ましてや、それをカメラに収める為に、どれほどの忍耐力が必要か。

ブレッソン氏が、これだけの人の心を動かす力を持った映像を生み出した裏で、彼が成したであろう努力を想像すれば、さもありなん、と納得するわけで。
同時に、撮れないことを残念に思うなら、それだけのことをするよう、自分を動かしていかないといけないはず、と。
内容は天と地ほどの違いがあっても、根本がそれであることは同じなんだよなあ。

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今まで、写真集というものを買ったことはないのですが。
彼の作品を始めとして、もっと色々な写真家の作品を見たくなったので。
今度図書館で、あれやこれやの写真集と、久しぶりにLIFE誌を、ゆっくり眺めてみたい、と思っているのです。

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HENRI CARTIER-BRESSON The Modern Century
October 30, 2010 - January 30, 2011


San Francisco Museum of Modern Art
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by senrufan | 2010-12-18 22:28 | Trackback | Comments(10)
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Commented by さまんた at 2010-12-21 01:39 x
Miyukiさんと反対に思い通りの写真が撮れないのはカメラの所為と思い込んでいる自分を一寸反省・・・(汗
おばさんのタバコの煙のゆくえ、少年のでっかいマントのひだの動き、寒さ…ほんと、この4枚だけでも写真というより動画を見ているような気になるものですね~
Commented by ゆりこ at 2010-12-21 07:19 x
おはようございま~す♪

失礼ながらこの写真家を知りませんでした・・・(恥^^;)
白黒写真って、ごまかせないので難しいですよね~?!
すごい写真家なんですね~♪
検索してこの写真以外の物も、拝見させてもらいま~す☆

いつも新しい素敵な情報「ありがと~ぉございます」(^-^)
Commented by Miyuki at 2010-12-21 07:53 x
*さまんたさん
いえいえ違うのです。実は私、数ヶ月前に一眼レフを入手したのですけど、いまだに「これぞ一眼!」みたいな美々しい写真が撮れなくて~(涙) カメラのせいには到底できない身の上なのです、よよよ。
すばらしいでしょ、でしょ? おばさまはかのココ・シャネルでいらっしゃいますよ。動画、うんうん、ほんとにそんな感じでした!
Commented by Miyuki at 2010-12-21 07:56 x
*ゆりこさん
恥というなら、私の方こそよっぽど恥ですよ~~~。
写真は覚えているのに、カメラマンの名を見ようという気にも至りませんでしたアタシったら。
白黒写真、確かに難しいですよね!
ほかの写真もすごく良いので、ぜひ検索してみてくださいね~。
私は彼の写真集を買おうかどうしようか迷ってます。うーむ。
Commented by まきりん♪ at 2010-12-21 16:09 x
水溜りの上を飛び越えようとしているあの写真、
彼の作品だったのですね。
一度目にしてとても印象的だったのですが、誰の作品だか分からなかったので、美由紀さんの日記で判明して嬉しいです~

色を交えないモノクロームという世界で表現することの凄さを改めて感じ入りました。
Commented by samantha-ca at 2010-12-22 15:23
2度も見に行ったのにすっかり忘れてしまっていたこと、みゆきさんのブログで改めて感動が蘇りました。視点が素晴らしい〜。もしやジャーナリズム専攻されていましたか〜?!

ブレッソンは写真が撮る事の方が好きで、暗室ワークは全部テクニシャン任せだった、とか、写真はほとんどクロップしない、など技術的なことを私はどちらかと言うと見ていたような気もしますが、特に彼のジオメトリーな構図が好きです。ココシャネルの撮影の合間にふと気を抜いたところパチリ、なんて、普段と違う表情が捉えられていてとてもおもしろいです。

彼が自ら自分の作品について語る"The Impressioned Eye"と言うドキュメンタリー映画もすごくよかったですよ♪
Commented by Miyuki at 2010-12-22 20:17 x
*まきりんさん
まきさんもご存知でしたか~。本当に有名な一枚ですよね。
ほかにも色々沢山、「あ、これ知ってる!」というのがありましたよ。

モノクロは難しい反面、そぎ落として本質を表すみたいな凄みがありますね~。
Commented by Miyuki at 2010-12-22 20:23 x
*samanthaさん
2度も行かれたのですね、うらやましい~! 私もあと一回行けたらなあ。
んでもって、うへへへほめられたあえへへへへ(変態)

おおお、そういう技術的視点が私には全くないので、どんどん教えていただきたいです! ジオメトリーな構図、なるほどなあ。そなんですよ、このシャネルの写真はずっと昔から好きで。おっしゃる通り、一瞬の地顔という感じがしていいですよねえ♪

その映画、観てみたいですー! 図書館で探してみよう、みよう。教えてくださってありがとうですvv
Commented by マミィ at 2010-12-23 01:36 x
見るだけでその場の匂いやざわめきが聞えてくる素晴らしい写真ですねぇ…うっとり。
「あ、シャネルのスーツを着たおかま?」と思ったんですが、これ、ココシャネルだったんですか~あははは。
Commented by Miyuki at 2010-12-23 19:04 x
*マミィさん
そうそう、臨場感があるんですよね~。だから戦争に関連した写真は痛かったです。
あははは、見えるかも、あはははは~~


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