背負う歴史を問うよりも

「努力だ。勉強だ。それが天才だ。だれよりも、三倍、四倍、五倍、勉強する者、それが天才だ」
   ----- 野口英世
        (日本人、細菌学者、1876年11月9日生まれ)

* * * * *

【イベント】

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芸術の秋ですね。
だからというわけでもないのですが、ここのところ、舞台やコンサートなどの予定が幾つか入っていて、ほくほく顔なのでございます。

たとえば先月末ですが、サンフランシスコで開かれた、Fall Antique Showに、家族で行ってまいりました。
歴史好き・ヨーロッパ好きのお嬢は、それがそのままアンティーク好きに繋がったらしく、最近その手のショップに、2人で行ったりしているのですが。
こういう大きな展示会は、彼女には初めてだったので、前から楽しみにしてたのです。

私はといえば、アメリカに来て間もない頃に、上司の奥様方に、大変規模の大きいアンティークフェアに連れて行っていただいたことがありまして。
場所名も忘れてしまったという情けなさですが、それこそ日本の体育館並みの建物を3棟使っての開催で、アクセサリーから家具まで、数セントから数万ドルまで。
蚤の市の巨大版といった感じの、本当に楽しいフェアでした。

なので今回のショウも、その時のイメージのままに訪れたのですが。
全く予想に反して、大層きらびやかで、アンティークどころか新商品?みたいな、お金持ちの香りが漂うイベントでございました。(庶民の嗅覚)




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入り口はいきなり、チャイナ風。中国の陶器や小物が、赤々しく飾られて。
そこから通路を進んでいけば、アンティークの家具や絵画、陶器に絨毯などなど、各ブースごとに美しくディスプレイ。
50以上ものディーラーが、それこそルイ14世の椅子からスカンジナビアの銀器に至るまで、腕によりをかけて、それぞれの専門商品をお客に見せてくれてます。

展示のみならず、講演も色々と予定されていたのですが、そちらはあっさりパスしまして。
家族3人で、おおっ、へえぇ、などと歓声を上げながら、あれやこれやと目の保養をさせてもらったのでございますよ。


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Richard Gould Antiques

さて、当たり前ですが、圧巻はやはりアンティーク家具。
永遠の憧れのライティングビューローから、テーブル、チェストに椅子に時計。
そこかしこに傷などはあったりするものの、それが風格に変わるところが、アンティークの魔力でございます。(勝手に)


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Heller Washam Antiques

アンティークって、いつ頃の物を指して呼ぶのか?という疑問が、素人には浮かぶのですが。

それは弁護士なら、100年以上前の物でなければ、アンティークとは呼べないと答えるし、
鑑定家なら、本物のアンティークとは、ほとんどの手作業が新しい機械や道具に取って代わられた1820年代から1840年代以前に作られたものと主張する、

なんてことを、とある本で読んだことがあります。
例えばこの机のように、pigeonhole、つまり伝書鳩がとどまる為の巣箱を備えているようなものは、その年代から”本物”であるらしい、という推測を強めることができるのでしょう。


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Mitsui Fine Arts

私が絶対アンティークは買えないなあ、と思うのは。そらあ勿論、財政的なことが一番ですが。(……)
全く見る目も知識もないので、商品の真偽の程や、つけられてる値段の正当性が判断できないから、というのが大きいです。


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Jeff R. Bridgman American Antiques

アンティークって、どなたもがご存知の通り、宝探しのようなもので。
華やかに商品を並べたお店以上に、蚤の市や古道具屋、知らない人の屋根裏部屋。そんなところで果たせるかもしれない貴重な”出会い”が、何よりも楽しみだったりするのでは。


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Robert Young Antiques

そういう宝探しに”無事に”邁進する為には、相当の経験と勉強が必要で。
頑張ってそうなれたらいい、などと憧れはするものの、そうはいっても、勉強だけじゃカバーできない部分もきっとあるだろう、なんて思ってしまうわけで。


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Daniel Stein Antiques, Inc.

それこそ、欧米の古い家に生まれ育って、幼い頃から親しんできた、という背景もその一つ。
お嬢がヨーロッパに憧れるのは、やはりその手の「歴史の重み」もあるのですね。

歴史の古さで言ったら、日本も全く負けてませんが、アメリカはね、どうしたって新しい国でありますから。
といっても、「200年以上も続いた、我らがold country!」と絶賛してたりするところが、大変ポジティブなのですが。
アメリカのカントリーテイストの品々、ポスターやキルトなど、歴史は浅くともアメリカならではのアンティーク類は、十分に人々を惹きつける魅力がある、と思います。


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Peter Pap Oriental Rugs, Inc.

アンティーク、つまり骨董品の価値を正確に評価するには、公式があるそうです。
年代+状態+品質+希少性=価値

つまり、どんなに良いものであっても、ありふれた物には価値は無く。
珍しくても、質や保存状態が良くないものには、高値はつかない、となるんですね。

それに加えて、その時々の市場の流行もありますし。
某貴族がかつて持っていた、なんていう来歴がプラスされれば、一気に値段が上がることもありえます。
ううむ、つくづく大変な世界だな。


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Bauman Rare Books

もし私がアンティークに手を出すとしたら、稀覯本について勉強してみたい、と思ったり。
本や作者についての勉強だったら、元々活字が唯一の趣味のようなものですから、自分的にかなり楽しそうで。
ディーラーにも収集家にもなれませんが、学ぶこと自体にわくわくできそうな。

ちなみに自分の本も、一応版数などはちょっとだけ気にしたり、帯を保存しておいたり、ぐらいはやってます。って、マンガでそれをやる意味があるんか。(爆)
こちらの稀覯本のブースでは、米国児童書の定番、「The Cat in the Hat」の初版本が、$2,000で売られておりました。(ひええ)


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Il Segno Del Tempo

などなど、その金額に重きを置くなら、ヘタな株式よりも、よほどスリリングで儲けの可能性大の、美術・アンティーク市場。
ですが、どうしたって根本にあるのは、その品物が好きかどうかに尽きる、ということは言うまでもありませぬ。

例えば、遥々イタリアはミラノからいらっしゃったらしいこちらのお店、人体模型や昔の入れ歯、医療器具の骨董品など、マニアじゃなければ買わねえよ、という品々を並べておられまして。
店番のダンディーなおじさまは、どこかドラキュラチックな服装と雰囲気で、お店の一部として立派に溶け込んでいらっしゃったのですね。(ほめてます)

好きであればこそ、というより、好きであることがその人にとっての一番の価値、なのであって。
どんな高価な芸術品でも、それを愛でて大切にしてくれる人がいてこそ、更に輝くわけですから。

ウィンザー公爵夫人のティアラより、祖母が使っていた珊瑚の数珠の方が、私にとっては価値があるように。(ちみっと無理してます)
長く、親しく、愛しむ。物との理想の付き合い方を教えてくれるのが、アンティークという存在である、のかもしれません。


THE SAN FRANCISCO FALL ANTIQUES SHOW
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by senrufan | 2010-11-09 12:07 | Trackback | Comments(6)
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Commented by すれっぢ at 2010-11-11 23:29 x
骨董の世界は奥が深くて・・・といいながら実は似た世界に片足
つっこんでますが。ミリおたも似たようなもんで(一緒にするなの声あり)
いかに物を見極めるかがポイント。しかもEbayのしょぼい写真から・・・
現物を手にして自分の見極め以上だったりすると喜び、あ~れ~~ってことがあると落ち込みます。(笑)

それにしてもアンティークの家具なんかだと、それが似合う家を保有してないと全く話しが始まらない世界ですね。
Commented by Miyuki at 2010-11-12 15:09 x
*すれっぢさん
いえいえ、ミリおたも全く同様ですよ~。
そうですか、eBayの写真から……ううむ、それは難しそうですねえ。
そういう苦労を経て、掘り出し物だとわかった時は、ほんとに感激でしょうなあ♪

そうそう、そーなんですよ! 娘に「あの箪笥はどう?」とか聞かれるたびに、「我が家のどこに似合うと思ってるんだ」と返してます。
Commented by まきりん♪ at 2010-11-12 15:53 x
おお、骨董品!
目が利かないと、がらくたなのか、掘り出し物なのか??な世界ですね。
さすがアメリカの展示会は見応えありますね~
いい視覚刺激になりました。
Commented by さまんた at 2010-11-13 06:39 x
私もおかげさまで楽しい展示会めぐりをした気分です~現在では見かけないもので『これはこういう用途に使われていた道具』などを見ると、ものを見る目がまったく無い私もさすがにわくわくします・・・入れ歯が見たい。あとMiyukiさんのマンガコレクションもいつか是非ブログで公開願いたいなぁと。
Commented by Miyuki at 2010-11-13 09:34 x
*まきりんさん
そうそう、運が良ければ掘り出し物、そうでなければただのバカ、みたいな世界ですよね~。
歴史の浅いアメリカ、やはり良いなあと思うお店は、ヨーロッパから来てました。
メールもありがとうございます! この後ゆっくり~、うふふ~vv
Commented by Miyuki at 2010-11-13 09:43 x
*さまんたさん
さまんたさんやマミィさんは、アンティークがもっとずっと身近で親しい環境にいらっしゃるかも。きっと鑑賞眼も鍛えられていらっしゃるのではvv 入れ歯のお店、面白かったですよー! 骸骨型の太陽時計とか、うはうは笑いながら見物する私らの横で、クールに爪をいじっているドラキュラおじさまの図、でした。
マンガは今の我が家には1,900冊ぐらい? 年季が入ったマンガ馬鹿なので、今まで買ったのはきっと5,000冊ぐらいなんじゃないかなあ……そのお金があれば今頃は、この入れ歯が10セットは買えたのに……


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