世界に一つだけの教科書を (1)

「分析は自発性と破壊する。小麦を粉に挽いたら発芽しなくなるように」
   ----- アンリ・フレデリック・アミエル
       (スイス人、作家、1821年9月27日生まれ)


Plan to limit toys with meals faces 1st test

マクドナルドのHappy meal
映画などと提携したキャラクターのおもちゃをつけて、子供達に人気のメニュー。
サンフランシスコでは、児童を肥満から守る為に、この手の不健康な食事に、子供のおもちゃをつける事を禁止する条例案を発表しました。
尚この案では、カロリー・脂質・糖分など、市が定めたガイドラインを守っていれば、景品をつけても良い、となっているそうです。

ずっと前に聞いた話なのですけど。
マクドナルドのハッピーミールの狙いは、幼い頃からマクドナルドの味を刷り込みして、大人になっても買い続けずにはいられないようにすることだ
という噂が、まことしやかに流れていたんですよ。
周りの大人のファストフード依存を見ている限り、あながち嘘でもないと思うんですよね。

数年前のSFの調査で、成人の食事を重さで計った場合、1/3量はファストフードかピザ屋で摂取されている、という結果が出ているのですが。
果たしてそういう嗜好の親が、子供には与えないということができるかどうか、ですな。

* * * * *

【イベント】

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かの方の御姿を、とうとう拝見できたのは。
忘れもしない、2009年9月27日のことでした。


……現在、2010年9月27日です。
はい、1年も前のことを、今頃、です。

だってだって、すんごおおおく長くなりそうで、どうまとめようかと迷ってたんだもん……!




気を取り直して、去年の今日、東京で行われた、久司道夫氏の講演会に行ってまいりました。

氏の3年ぶりの来日公演が、ビザの手続きの為、ちょうど日本に短期滞在期間中という偶然。
これは行けということだろ、運命だろ。
しばし悩んだものの、そう結論づけて、申し込みに至ったのでございます。BGMはベートーベン。

マクロビオティックの創始者は桜沢如一氏ですが、その桜沢氏の弟子であり、アメリカにマクロビオティックを広め、更に日本に逆輸入の形で普及させたのが、久司氏です。

b0059565_6133798.jpgマクロビオティックの歴史については、こちらの本がお薦めです。

持田鋼一郎著「世界が認めた和食の知恵―マクロビオティック物語」

数年前から、日本でマクロビオティックがブームらしき流れにのり、今では数多くの本も出版され、とてもありがたい状況にあります。
が、陰陽論を核に持つマクロビオティックの理論本は、どこか宗教やスピリチュアル系の香りが醸し出されている、と感じられる方々も少なくなく。
その中でこちらの本は、ごく客観的なスタンスを取りながら、桜沢氏が、その弟子達が、どのように行動していったかを追った、ドキュメンタリーのような本なので、それほど抵抗なく、彼らの歩みを知ることができるのでは、と思います。

以下は、この本に書かれた内容を、拙くもざっとまとめてみる試み、でございます。
*-*-*-*-*-*-*-*-*

マクロビの原点は、明治時代の医者・石塚左玄の唱えた、「医食同源思想」にあります。
西洋医学の対症療法ではなく、病気に対する抵抗力・免疫力を高めることを重要とし、
病気とは乱れた食事・食習慣に起因し、正しい食事によって健康を維持する必要があると考え、
その研究を「食養」と名づけました。

石塚左玄は、人間の身体にとって無機成分、特にカリウムとナトリウムのバランスが大切である、と考えていました。
食べ物においては、カリウムは穀類、野菜、果物、海藻、ナトリウムは食塩、肉、魚、卵などの動物性食品として、
両者を自在に組み合わせることによって、病人の治療にあたったのですね。

明治の末、この左玄の食養論に光を見出したのが、当時結核に苦しんでいた桜沢如一氏であり、
カリウムとナトリウムのバランス論は、「無双原理」と彼が名づけた易学において、
陰と陽の二極の変化によって、あらゆる現象を説明する至上の原理、と彼が呼ぶものへと発展させられたのでした。

その後、波乱万丈という言葉では足りないぐらいの生き様を見せた桜沢氏の元に、
当時、東大法学部に在籍中の青年、久司道夫が訪れます。
従軍し、戦争・原爆という現実を目の当たりにした彼は、どうすれば世界平和が実現できるのか、虚しさを抱えつつ模索していたところ、
世界連邦政府樹立を目指して活動中の、桜沢氏の私塾に辿り着いたのですね。

ちなみにこの世界連邦協会は、現在でも活動中の、国際的な非政府組織です。
詳しくはHPや、Wikiの説明をご覧くださいませ。


世界連邦の実現を目指している、と言う久司に、
「平和の問題は必ず食の問題にぶちあたる。平和のメロディは食生活の中で鳴っているんだ」
とつぶやいた桜沢。
彼の私塾での講義で、
教科書通りにものを見、ものを考えるな、
他人の判断力を借りるな、
自分の目でものを見、自分の頭でものを判断できるようになれ、
ということを徹底的に叩き込まれた九司氏は、旅費だけを出され、アメリカの西海岸に送り出されるのです。

辿り着いたNYで、コロンビア大学の大学院に入学しますが、どんな学問を学んでも、どんな英才と呼ばれる人に尋ねても、世界平和への具体策を見出すことができなかった氏。
そして彼が始めたことは、たとえばタイムズ・スクウェアの角、たとえば聖パトリック大聖堂の石段に座り、一日中、ただ通り過ぎて行く人々の人相を観察する、ということを始めます。
鼻、耳、口など、一定期間ごとに特定部位に集中して観察すること、2ヵ月半を過ぎたところで、彼が抱いたのは、
「人間は環境に支配されている」
という直感的な結論でありました。

大きくは自然環境によって、次いで居住地や職業などの人工環境によって、支配されている。
更にこうした環境の一部、空気、音、光、水、食物などを、人間は身体に取り込んでいる。
この中で人間が自分で選ぶことができるものがあれば、自分の運命を変えることができる。
それは、いうまでもなく食物であって、人間は自分で食物をコントロールすることができる。
摂取した食物は、体の中で血液に、細胞に変わり、最後に人間の肉体的・精神的エネルギーを生み出すことができる。

食事を変えることによって、平和な世界を作り出せるとする、久司流マクロビオティック論の始まりでした。

この後、アメリカでマクロビオティックを広めていく桜沢氏、久司氏の味わった試練は、それぞれ異なる道を選んだとはいえ、互いに負けず劣らずの苦難の連続でありました。
マサチューセッツ州を拠点とした久司氏の元には、ヒッピー、ベトナム反戦運動家などが多く集まり、それに伴う誤解やトラブルも度々でありましたが、マクロビオティックは徐々に東海岸に浸透していきます。
途中、西海岸を拠点とした桜沢氏の訃報という不幸にも見舞われましたが、その恩に報いる為にも、とアメリカでマクロビオティックを広めるという思いを新たに、活動を続けます。
そうした活動を続けるうち、アメリカの一般的な家庭の人々の関心もひくようになっていきます。
そして医学者や化学者達で、マクロビオティックを科学的に検証し、優れた食事療法であることを証明する人々が現れてきたのです。

ここで、アメリカでの一つのターニングポイントともいえる出来事が起こります。
それが1977年に発表された、「マクガバン・レポート」です。
米国上院の栄養問題特別委員会が世界規模で行った、慢性病と栄養に関する調査報告が、議長であったジョージ・マクガバンによって発表されたのですね。

がんや心臓病などの慢性病が増えた原因は食生活にあり、改めなければ、先進国は慢性病の激増によって滅亡してしまう、と名言し、
動物性たんぱく質、砂糖、精製食品の摂取を減らし、穀物、野菜、果物の摂取を増やすことを薦めた、この報告書の中で、
マクロビオティックは、理想的な食事として取り上げられたのでありました。

その後、がんなどの慢性病のみならず、精神病の治療や犯罪者の更正、そしてエイズといった難病にも、砂糖や精製食品、動物性食品を控えた食事療法は有効である結果を積み重ねていくなど、
アメリカの両海岸において、マクロビオティックを良しとする動きは広まっていきます。
久司氏はその功績により、94年に国連著述家協会優秀賞を受賞、95年にはロードアイランド州上院議会から表彰され、99年にはスミソニアンの歴史博物館に、著書や資料がクシ・ファミリー・コレクションとして永久保存されることになりました。

こうしてアメリカから火がついたマクロビオティックの運動は、母国日本へと逆輸入され、現在のブームに繋がっていったのでありました。


九司道夫 日本版Wiki 英語版Wiki
*-*-*-*-*-*-*-*-*

なっげーっ! まとめ下手すぎーっ!
個人的な感想や意見は、ずっと後で!
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by senrufan | 2010-09-27 14:44 | Trackback | Comments(14)
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Commented by mifamilia at 2010-09-29 15:51
いえいえ、とっても上手にまとめられていると思いました。
さすが、Miyukiさん。

続きが楽しみです。^^

ちょっと前のミュージカルのお話も大変興味深く読ませてもらいました。
(セロ弾きの・・・) その記事を読んだ日、ちょうどユダヤ系アメリカ人の人とお話することになり、お父さんはロシアのユダヤ人、お母さんはイギリスの、、、スペインにもユダヤ人がたくさんいて~(コロンブスの時代)なんて話を聞いたあと、Miyukiさんのユダヤの話をなんと読むことになって、へぇ~そうなんだ~と妙にシンクロを感じさせてもらったのでした。
Commented at 2010-09-29 21:01
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by さまんた at 2010-09-29 22:29 x
私も続き楽しみなひとりです。Miyukiさんの文章には何か惹かれるものがあります~。

三つ子の魂百までとはいえ、いくら子供の頃に慣れ親しんだ味でもマクドナルドを一生食べ続けたいと思える人って、本当にいるんでしょうかね?自分としては飽きる味だと思うので想像がつきません・・・あ、でもカップめんは自分もまだ食べたいと思うときがあるので、アメリカ人にとってのハンバーガーは日本人にとってのカップめんのようなものなのかな?とも思ったり。
Commented by マミィ at 2010-09-30 00:41 x
Miyukiさんのジャジャジャジャーンな運命の師である九司氏が到った結論「人間は環境に支配されている」…本当にその通りだと思います。けれどその環境下で、自分で選ぶことができれば変えることができるのだという言葉に、いろいろな意味で勇気づけられます。だから何でもかんでも環境のせいにして、何もしない自分ではいけないんですよねぇ。じゃ、何を選んで何をしよう?それが難しい…。続きを楽しみにしています。
Commented by Vivian at 2010-09-30 03:22 x
私も続きをたいへん楽しみにしております! 

“マクガバンレポート”の次に記事の要点になるであろう“The China Study”(邦題はうろ覚にて原題でご勘弁)、結局ざっと読んだだけです。Miyukiさんの解釈(されると勝手に確信!)を参考にもう1度読み込んでみたいと思います。ちなみに、かの本を読んで私が即実行したのは、オーガニック牛乳からオーガニック豆乳(砂糖無添加)への移行でした。まだ数ヶ月なので効果はよく判らないです(^^;  丈夫で長生きして初めて効果が判るのかも??

余談ですが、ご迷惑をかけておりますが気力が少しずつ回復している感じですm(._.)m

Commented by senrufan at 2010-09-30 09:31
*るしあママさん
うわん、いつもどうしてそうお優しいのでしょう、るしあママさんったら~~(うるうる)

そしてまたシンクロ、嬉しいです♪ そなんですよね、ユダヤの人って、こんなに!?と思うほど沢山いらっしゃるんですよね。そして、それぞれに背負われている歴史があって。賛成とか応援とか、そういう気持ちを離れたところで、興味が尽きないのです。
Commented by senrufan at 2010-09-30 09:34
*非公開コメントさん
ななな、なんと、そんなに沢山駄文を読んでくださったですか! だ、ダイジョブですか、身体に異変はありませんか(ハラハラ)
メール、私こそ嬉しいです~。こちらから後ほど送らせていただきますね。
食だけではないですが、特に食に関しては、NY、SF、LAの三箇所ってやっぱり特別なのだと思いますね~。
Commented by senrufan at 2010-09-30 09:39
*さまんたさん
ひかれる気がするのは、私が思いっきりさまんたさんを引いているからでございます。あ、ひかないで。

カップめん、うんうん、正にそれだと思うです~。インスタントラーメン症候群まで流行った世代のワタクシとしては(…)、あれと同じと言われれば、気持ちはわからんでもないなあ、と。あとは不二家とかハッピーターンとかかっぱえびせんとか(きりがない)
Commented by senrufan at 2010-09-30 09:41
*マミィさん
そうなんです、そうなんです。自分で変えていかなきゃ、でも何をどうやって? 勇気は勿論、検討して選択するまでの知識を得るところからすでに大問題のワタクシです。ただそれでも、他人や社会を変えるより、ずっと楽なんだろうなあ。
Commented by senrufan at 2010-09-30 09:49
*Vivianさん
えええ、えーとえーと、すみません、China Studyについて書く予定はないのですが(大汗) 一応、九司先生の講演会の記事なので。でも邦訳、面白かったですよ~! まだ下巻が出てないので結論はわかりませんが、議論を巻き起こしたことは当然の内容ですね。今度お会いする時に、ゆっくりお話ししたいです~vv
身体の細胞が全て入れ替わるのに7年かかるそうで。私も、数年後の自分を楽しみにしておりまする(笑)

迷惑なんてとんでもない! どうぞゆっくりお元気になられてくださいね。とりあえずこちらから、思いっきりハグを送ります。あ、逃げないで。
Commented by Vivian at 2010-09-30 14:43 x
そうですか、てっきり、マクガバン・・・に関連付けてお書きになるのかと。早とちりでした(汗)

邦訳の下巻が出ていないのですね。失礼しました~。
下巻を読んだ後の別の機会にぜひ記事をお願い! どんな角度から入るのか興味あるんです。今からリクエストしておきます~。

ハグ、しっかと受け取りました(嬉)
Commented by Miyuki at 2010-10-01 08:16 x
*Vivianさん
いえいえ、そなんですよ、まだ下巻は当分出そうもなく。
そして、出たところで、私ごときにVivianさんのご期待に沿える確証はゼロ。のーみそゼロ。
なので、今回の一連記録の中で、少し触れるようにしてみますです~。

えへへ、んでは領収書を。(投げちっす)(毒だーっ!)
Commented at 2010-10-02 09:53 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by senrufan at 2010-10-02 10:03
*通りすがりさん
うっぎゃーーー、またやってるアタシーーー!!!(前科者)
ご指摘、本当にありがとうございました!!


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