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君は僕の王様だ (前)

「この世にはお金をたくさん持っている人がいる。そして、豊かな人がいる」
   ----- ココ・シャネル
       (フランス人、デザイナー、1883年8月19日生まれ)

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【家庭内事情】

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あのね、ママのお友達が、旅行に行く間、飼ってる犬を預かってくれる人を探してるんだけどね。
へえ、どのぐらい?
ん、5日間予定だって。
いいじゃん、うちで預からせてもらおうよ。ところで、どんな犬?
ミニチュアプードルで、確か名前はロイヤルだったはず。
ロイヤルって、Royal、それともLoyal

………え゛。




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大好きありすさんの呼びかけに、思わず名乗りを上げてしまった我が家。
お役に立てたら、という思いは勿論あったものの、同時に、きちんと飼うことはとてもできないけれど、短期間の犬体験ができる貴重な機会、と思ったのも事実。
こうしてRoyal(正式名称)は、我が家にお泊りすることになったんだ。

血統の良さを買われて、種犬(と言っていいのかな)としてお仕事(?)していた彼は、その役目を終えたところで、ありすさん宅に養子に入ったのだね。
現在4.5歳の彼だが、働き盛りだった頃は、まさか自分がこのような、高貴な血筋もへったくれもない民宿=我が家に滞在することになろうとは、露ほども思ってなかった、かもしれない。


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お仕事上、いろんな家に行っては、しばらくの期間滞在、ということを繰り返していたそうなので。
環境の変化には慣れているのか、我が家に来た夜も、それほど警戒する様子はないように見受けられ。

それにしても、私の後をどこまでも追ってくる。
私がキッチンにいようが部屋にいようが、ずっとこちらを見ながらそばにいる。一挙一動に敏感に反応する。

食事は朝・晩2回、決められたドッグフードを与えることになっていたのだけど、最初の夜は食べようとしなかったので。
そういう時用に、と言われたグリーンフードを与えて、様子を見る。


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2日目もドッグフードに反応しないままだったので、またグリーンフードを取り出してみたら、それには喜んで飛びついて。
それでも臨時の餌であることは変わりないだろうから、と、半分だけ与えてみたり。

ところがうちの裏庭に出たら、芝生をむしゃむしゃ食べるんだなこれが
そうか、Wheatgrassが好きなのか。じゃあ、一緒にグリーンスムージーを飲むかい。(殴)
さすが、ベジ仲間のありすさんの子だけあるなあ、って、ほんとにこれでいいのかい。

旦那が子供の頃に犬を飼っていたので、聞いてみたら、犬は胸焼けがする時に草を食べる、という。
それがほんとだとしたら、あのグリーンフードスナックは、やはりやめといた方がいいのか。でもドッグフードを食べないんだったら、空腹のままほっておくのはかわいそうだしなあ……


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翌日の朝も、ドッグフードはちょっとつつくぐらい。
そうこうするうちに出かける時間になったので、ロイも一緒に連れて行こうとしたんだが。
車に乗るのが大好きと聞いていたのに、うちの車には進んで乗ろうとせず。
仕方がないので抱き上げて乗せて、ドアを閉めて、出る準備。

ところが出発した途端、座席の上に、固まり状のものを吐いたんだ

かわいそうに、気分が悪かったのか、だから乗りたがらなかったのか。
ごめんね、無理に乗せちゃってごめんね。つらかったね、我慢してたんだね。

しかしケガの功名、それですっきりしたのか、この日の夜から、ちゃんとドッグフードを食べるようになったんだよ。
素晴らしきWheatgrassのデトックス力、なんつって。


これが、3日目の出来事だったのだけど。
このハプニングが起こってから、食事のみならず、彼の態度も一段変化した。

それまでは、とにかく私のそばにひっついていたのだけど。
これ以降、たとえば私がキッチンにいることを一旦確認したら、別の部屋にある自分のベッドや、お気に入りになったらしいソファでくつろぐようになって。
勿論、私が動くと、またさっとやって来ては確かめるんだが。
それでも、「ずっと見てなくても、少々離れても、この人は大丈夫」という安心感が生まれたかな、なんて。

そうだよね、やっぱり不安だったんだよね。大好きなありすママと離れてるんだから。
しばらくの間、なんて言葉が通じるわけがないんだから。


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それからは、ぐんぐんと”家族”っぽくなって、お嬢にもぴったり懐いちゃって。
寝る時も随分とリラックスして、私が少々移動しても、それほど気にしないようになって。
出かける時に留守番させたら、私達が帰った途端に、素晴らしいばかりのはしゃぎっぷりで、大喜びで出迎えてくれるようになったんだ。

残る唯一の問題は、彼の”夜鳴き”だけ。
我が家の家長である旦那は、帰宅が夜中の2時3時なんだが、彼の車が家に近づくと、ロイはぱっと起き上がって吼えまくり。
声帯を傷つけられているので、近所迷惑になるほどではないのだけど、当たり前だが私は起こされるわけで。朝は基本6時前には起床なので、最初はちみっとつらかった。

旦那が家に入ってくると、キャンキャン声でお出迎え。お嬢や私が帰った時とは、雲泥の差のお出迎え。(つまり威嚇)
旦那は「家長が帰って喜んでるんだよ」と言うんだが、いやあ、どう見ても”よそのヒト”警戒対応でしょソレ、みたいな。

犬は、家族内の身分を独自に見分け、自分は一番下の人間の一つ上、と考えるそうだけど。
実際の身分はどうであっても、家にいないヒトは”よそのヒト”。
家長の威厳はゼロだった。

(続く)
by senrufan | 2010-08-19 12:58


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