それでも基となる場所がある

「この信条に従って生きてください。少しでも笑う機会を作り、自分の周りを見回して、悲しみの代わりに幸せを見つけましょう。笑いは常に不幸な状況から私を救い出してくれました」
   ----- レッド・スケルトン
       (アメリカ人、コメディアン、1913年7月18日生まれ)

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【レストラン】

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「shinaさんにお世話になりました」・第2弾。
レポしてくださった日本食レストランがとっても良さそうだったので、家族で行ってみたんだよ。





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広い店内に驚いた。カウンター席も結構な長さ。
でも、テーブル席はそれほど多くなく。ゆったり感溢れる造りだね。

いつもなら、和食レストランは避けがちな私。
和食ってヘルシーなイメージがあるけれど、このエリアの一般的なお店は、ベジタリアンはともかく、ヴィーガンの人には向いてなかったりするんだな。
ほとんどのメニューに肉or魚が使われていて、そうでないものでも、出汁が鰹だしだったりしてね。
おまけに、現地の人対応で仕方がないのだけど、どうしても砂糖多めにしがちなので。
あるお店など、注文できるヴィーガンメニューは、「豆腐サラダ・しかもドレッシングは別添えで」ぐらいしか見つけられなかったこともある。

そんな私がこちらに来たいと思ったのは、精進料理があると聞いたから、だったんだよ。
ウェイトレスさんからうかがったところ、料理長は元々精進料理がご専門でいらっしゃったとのことなので、期待度大の大、なのだ。


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日本酒メニューが充実しているようで、後ろの棚には”My枡”が積み上げられていたりして。
しかし、今はアルコールよりお料理を。お金にならない客ですみません。


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お嬢と私は、さっさと数品リクエスト。旦那はいつまでも迷う、迷う。
突き出しのお豆腐をいただきながら、まだまだ迷う、迷ってる。


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一品目は、野菜吉野煮
”季節の野菜”となっていて、今日はshinaさん達と同じく青梗菜に、生姜の細切りがのせてある。

京風な薄味、と教わっていたけど、うん、ほんとに程好い味加減。外食の和食で、この優しさ加減は久しぶり。
青梗菜はあまり好きではないお嬢でさえ、これはぱくぱく食べてたよ。しゃっきり歯応えは残して、尚且つ食べやすく仕立てられてるよ。


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刺身の中で、〆鯖が一番好きなので。(安上がり) 〆鯖の白生姜和えは絶対頼まなきゃ。

これもんまいったらありゃしない。しっかり厚めで、きっちり締まってて、しかも酢味がほんのりで、すごく良い。
新生姜の季節だけあって、生姜だけ食べても美味しいの。


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こんにゃく大好きなお嬢が喜ぶ、蒟蒻柚庵漬け薄造り
薄く切ったこんにゃくを、柚子を効かせた醤油だれに漬けてある。

去年日本に行った時、青空市場で手作りこんにゃくを買ったんだけど。
これが歯応えから香りから、今まで食べてたものとは段違いで、そうか、今まではゴムを食べてたんだ、と思ってしまったほど。(おい)
以来忘れられなくて、かえってこんにゃくを買いにくくなってしまったんだが。

こちらのこんにゃくは、正にその手作りこんにゃくを思い出させてくれる歯応え。
ふかっ、と歯が入って、むっちり、と噛み切って、喉越しもつるんと心地良く。
おまけに、出汁がいいよねえ。これこれ、これぐらいの味が欲しかった。


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胡瓜と竹の子のもろ味噌和え。つやつや光った竹の子が可愛いよ。
素材の新鮮さが良くわかる上、もろ味噌もぱらぱら程度で、素材を引き立てる具合のところで留めてる。


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迷った末に旦那が選んだのが、豚肉の柔らか煮。ちょっと東坡肉みたいな感じかな。
ほんとにほろほろと柔らかくて、口に入るととろっ、とね。

この後、ウェイトレスさんのお薦めに従って、残った汁をざぶんとご飯にかけた旦那。
ちょっと行儀が悪いけど、現地のお客さんは好きな人が多いんだって。
確かにうまい、と喜んで食べてたよ。犬飯・猫飯は、永遠に裏メニューの定番だ。(ほんとか)


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最後にサービスで出してくださったのが、自家製の栗きんとん
上品な甘さで、素材の甘さがほとんどと思われ。量も適度で、これは嬉しい〆でした。


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カウンターは見事なのだけど、厨房はその奥にあって。
入り口に置いた長めの台で、料理長が調理されていて、お客はそれを見られるようになっている。
厨房横にあるキッズルーム、これは子連れのお客さんにはとてもありがたいよね。ゆっくり味わって食べたいお料理がそろってるから、余計にね。

そしてウェイトレスさん、ウェイターさんが、知った顔の方ばかり。
以前、○○にいらっしゃいましたよね、前は××で働いていらっしゃいましたよね、なんて会話をしちゃったさ。滞在年数の長さを噛み締めたよ……(苦い)


しかし旦那、美味しさは認めつつも、少々辛口の感想。

まず、日本人には美味しい薄味だけれど、現地の人にはどれだけ受け入れられるのか。
そしてメニューも、ぱっと見て惹かれるものが少ない。柔らか煮、蒸し物といった表示では、自分でさえもいい意味でなく、どれがいいのか迷ったぐらいなので、現地の人なら尚のことでは。
素材も良いし、調理も素晴らしいし、食べたら良さはわかるんだが……

それを裏付けるように、3人で入ってきた現地のお客さん。
テーブルに座って、メニューを一通り眺めた後、首を振りながら店を出て行かれた、というシーンを見ちゃってね。
海外の和食ブームといっても、当たり前だけど日本人が好むものとは違うのだ、ということは、数え切れないほど知らされてきたことだから。


個人的には寿司も天ぷらも、海外ではSushiとTempraでいいと思ってる。
日本人の舌に合わせる必要はなく、ましてや現地の人の舌を見下すことだけはしちゃいかん。
日本の誇る食文化なれど、一旦外に出れば、その土地で受け入れられるように変わっていくべきと思うし、形を変えて根付かせていくのは、日本人こそ得意のことだから。

それでも自分が美味しいと思う味が、そのままの形で受け入れられてくれれば、こんな嬉しいことはないのであって。どうかこのお店が長く続いてほしいなあ、と願っちゃったりするんだな。
フュージョンや寿司メインのところで、お気に入りのお店は幾つかあるのだが、しみじみと野菜の美味しさが、丁度良い味付けで味わえるお店といったら、こちらはトップクラスかと。
ほかのお店では、味付けはどうしても濃い目なんだけど、レストランだからこれぐらいじゃないとね、と妥協(?)が入るんだよ。

そしてこちらは、ただの”薄味”じゃないんだよ。
素人感想で申し訳ないのだけど、素材と出汁と調味料のバランスが絶妙で、それぞれを効かせるべきところと引くところを心得ていらっしゃるのがさすが、と嬉しくなったのだ。滋味、慈味、しみじみ味わったのだ。

逆に言えば、私が嬉しいということは、人様には相当の薄味ということになって、マイナス点にしかならないのかもしれないが……(さめざめ)

開店して8ヶ月、という新しさ。好評も批判も色々受けて、根付いていくお店であってほしい。


八十八 Hachi Ju Hachi
14480 Big Basin Way
Saratoga, CA 95070
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by senrufan | 2010-07-18 10:43 | Trackback(1) | Comments(8)
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Tracked from shina_poohな日.. at 2010-07-20 12:46
タイトル : No.812 和の伝統を丁寧に伝える心 八十八@Sara..
いい日本料理のレストランがオープンしたのでご一緒しませんか、と大好きなWご夫妻に誘われて訪れたのは、サラトガにある八十八(はちじゅうはち)。 昨年2009年11月にオープンしたばかりのこの和食レストラン、知る人ぞ知るサンカルロスの和食「刃文」の板長さんが出したお店。(「刃文」は既にクローズ。)食通Papさんからも「京風の薄味」と伺っていたので期待高まる。 日系スーパーミツワから Saratoga Dr をまっすぐ15分ほどでサラトガのダウンタウンに到着。暖簾をくぐり店内へ。照明...... more
Commented by shina_pooh_at_sfo at 2010-07-20 12:44
わたくし、とーーーーってもアメリカナイズされた舌ではあるのですが、薄味は薄味で大変感銘する人でして。(実家が温泉旅館なもので。)Miyukiさんも〆鯖ベスト同志ですか???こんな嬉しいことはありません。

このお店の味は、日本人にとっても賛否両論なくらい薄味かもしれない、と、どなたかがおっしゃっていましたが、この出汁の、この素材の味にうなって欲しいと切に願うのです。サラトガでなければ通うのに。
Commented by こっぺ‘ at 2010-07-20 12:57 x
いぐ、ぜったいいぐ。いかせてください。評判をちらほらきいていたのです。そうなのです、もうてりやーき、てんぷーらの日本食屋は、いきますけど、もういいって感じで。というよりそれ以上は望めないと諦めていたのですが。今月は食費がえらいことになってますので、来月ぜひ。子供が行けるというのもポイント高いです。
Commented by ayumin_moo at 2010-07-20 14:45
ツヤツヤ輝く竹の子に目が釘付け!蒟蒻も風味豊かで美味しそう!この間日本へ帰った時、オットも私も刺身蒟蒻にはまりました。アメリカではなかなか美味しい蒟蒻に出会えませんよね。私も薄味好みなので、ぜひ行ってみたいです♪ちょっと立ち寄るというには遠いですが、近くへ行った際にはきっと!
ウェイトパーソンの方の顔を覚えていていらっしゃるなんて、さすがMiyukiさんですね!
Commented by マミィ at 2010-07-20 15:50 x
>日本の誇る食文化なれど、一旦外に出れば、その土地で受け入れられるように変わっていくべきと思うし、形を変えて根付かせていくのは、日本人こそ得意のことだから。
本当にその通り!と画面に向かって頷く朝であります。
Commented by Miyuki at 2010-07-21 12:33 x
*shinaさん
shinaさんは元々の味覚がしっかりしてるから、正しい意味で「守備範囲が広い」舌をしてらっしゃるんだなあ、と感心します。改めて子供の頃の”食育”は大事ですねえ……ごめんねお嬢。(ぽつり) そんな私でも、〆鯖が好きという共通点で自信をいただいてしまいましたよ、えへ。

そのご意見、わかります。でもそですよね、ただ単に薄くしただけじゃない「薄味」ですから、どうかわかる人が多くいてほしい、と願いますね。私も、使っても減らないお金があれば通うのに(涙)

Commented by Miyuki at 2010-07-21 12:35 x
*こっぺさん
行ってください、食べてください! そうですよ、キッズルームがあるんですから、こっぺさんご家族こそぜひ行っていただきたいです。アメリカン和食もアリだと思ってますが、それと好き嫌いはまた別の話ですもんね。さて、我が家は次はいつになるのやら。(家計簿をにらみながら)
Commented by Miyuki at 2010-07-21 12:39 x
*ayuminさん
うわあん、日本の刺身蒟蒻! 食べたい、食べたいです~~。というか、日本にいたらきっと手作り蒟蒻に挑戦してた自信があります。ayuminさんも気に入っていただけるといいなあ、こちらのお店。
私以上に旦那がすごく覚えていて。駐在員時代の和食レストランの人脈は、すごいものがありましたからねえ。家族は滅多に連れて行ってもらえませんでしたけどねえ……
Commented by Miyuki at 2010-07-21 12:40 x
*マミィさん
パリでの和食ブーム、何度かTVで見ましたよ~。アメリカンとはまた違ってて面白かったです♪


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