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一期限りである一会 (その3)

「仕える事はすばらしいことです。もし、喜びと真心を持って、偏見なしに行うなら」
   ----- パール・バック
       (アメリカ人、作家、1892年6月26日生まれ)

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【レストラン】

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Chef's Tasting Menuが、肉・魚を使うレギュラーコース。
Tasting of Vegetablesが、卵・乳製品はOKのベジタリアンコース。
さて、2コースのうち、どちらを選ぶべきか。




Wさん旦那様と旦那、お嬢の3人は、レギュラーコースを選択。
私はというと、初めてのフレンチ・ランドリーなのだから、レギュラーメニューをしっかり味わった方が、というアドバイスもいただいて、しばし迷ったのだけど。
逆に私には、むしろ野菜メニューの方が、まだ味がわかるだろうし、これだけのレストランが、どれだけの野菜メニューを作ってくれるのか、というのを知りたい気持ちが大きくて。
加えて、いくら外食では動物性食品も気にしない、とはいうものの、9品のうち、野菜オンリーメニューが2品ほどであるのは、ちょっと体質的な不安もあったので。
ここは潔く、ベジタリアンコースをお願いしたのだよ。

Wさんは食事療法中の為、完全ヴィーガンの特別コース。
つまり彼女の一人の為だけに、9品というコースを作り上げてくれる、というわけで。
これがどれほどすごいことか、後々じっくり感じさせてくれることになったのだ。


料理の写真は、自分のベジタリアンコースしか撮らなかったし、お互いに料理を分け合うこともほtんどせず。さすがにこのレベルのレストランでは、それはマナー違反であろうから。
そして当然、途中でメモ、なんてこともできなかったので、このスッポ抜け頭で、9品の内容を全部記憶しておくなんて、とても無理……!

と、正直始めは、記録をほぼ諦めたのだけど。
帰る時になってお店から、わざわざ一人ずつ、その日のメニューを渡してくださって。
しかも、サービスで出してくれたメニューを加えて、印刷し直してくれた特別バージョン。
諦めていただけに、すごく嬉しかったので、こんなダメダメ写真しかなくても、思い切って日記を書くことに決めたのだ。

そんな拙い記録は、私のコース料理のみであるので、まず先に、レギュラーコースの内容を、文字だけでも記録しておくのだよ。


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Chef's Tasting Menu | 22 May 2010

CAULIFLOWER "PANNA COTTA"
with Island Greek Oyster Glaze and California Sturgeon Caviar

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SALAD OF HAWAIIAN HEARTS OF PEACH PALM
Granny Smith Apple, Red Radish, Mizuna and Juniper

MOULARD DUCK "FOIE GRAS EN TERRINE"
Belgian Endive Relish, Marcona Almonds, Kumquat and Nasturtium

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SAUTEED FILLET OF BLACK BASS
Razor Clams, Bronze Fennel, Jingle Bell Peppers, Spring Garlic and Pernod "Nage"

TARTARE OF JAPANESE BLUEFIN TUNA
Pumpernickel Melba Toast, Jidori Hen Egg Sorbet, Pickled Pearl Onions, Celery Branch and Cornichon Vinaigrette

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SWEET BUTTER-POACHED MAINE LOBSTER "MITTS"
Field Rhubarb, Hazelnut "Pain Perdu", Tokyo Turnip, Parsley and Black Truffle

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"AIGUILLETTE" OF LIBERTY FARM PEKIN DUCK
White Asparagus, Pickled Ramps, Green Grapes, Watercress and "Sauce Hydromel"

DEVIL'S GULCH RANCH RABBIT SHOULDER
Nantes Carrots, Hobbs' Bacon, Sweet Pea Mousse and Tarragon

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ELYSIAN FIELDS FARM LAMB SADDLE
Falafel, English Cucumber, Yogurt, Eggplant, Cilantro and Sumac "Jus"

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CABOT "CLOTHBOUND CHEDDAR"
Morrel Mushrooms, Potato "Croquettes," Mache and Red Wine Reduction

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COCONUT MILK SORBET
Vanilla-Roasted Maui Gold Pineapple, Madjool Dates, Cashews and Candied Ginger

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"CREMEUX AUX FRUITS DE LA PASSION"
Silverado Trail Strawberries, Dried Pistachio "Pain de Gene," and White Chocolate Sorbet

"SAVARIN AU CITRON"
Citrus "Vierge," Per Mio Figlio Olive Oil and Straus Dairy "Creme Glacee"

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MIGNARDISES


線内に2つ並んでいるのは、どちらか1つを選ぶんだよ。
ほんとはフランス語の^とか`とかがつく単語もあるのだけど、付け方がわからないので逃げるんだよ。(殴)
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しかし、この豪華なコースに入る前に。
まず供されたのは、なんとも可愛らしいアミューズ。
だけでなく、お店からの好意ということで、アミューズがもう1品に、サービスメニューが2品も。嬉し・恥ずかし・ありがたし。(大感謝)


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直径3cmほどの小さなパフだけど、その美味しさは普通のシュー以上。
さくっとした皮の中に、ブリーとグリュイエールチーズがぎゅっと詰まってて。
3口で食べるなんて勿体無いことは、いくらシェフのポリシーといっても、とても従えない、といきなり判明。


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サービスのアミューズも、なんて可愛いの。一口でぽん、と食べてしまえるような、アイスクリームコーン型。
しかも、レギュラーの方はセサミのコーン、ベジの方はブラックペッパー入りと、ちゃんと区別されていて。
ベジコーンの中身は、柑橘類のグラニテ。さっぱり味とさくさくコーンの、素敵なペアリング。


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SACRAMENTO DELTA ASPARAGUS SOUP
with Pickled Pearl Onions

サービスメニューの一品目。
繊維の多いアスパラガスが、こんなに滑らか・さっぱりになるのだね。
中に浮いた小玉ねぎのピクルスは、この瓶詰めが売ってたら即買いしたい、と思うほど、ほんとに美味しかったよ。


BLACK WINTER TRUFFLE "PUDDING"
Cherry Belle Radishes and Preserved Kumquat

2品目は、悲しいことに写真が全滅……男性陣が絶賛の一品であっただけに、オノレの不甲斐無さに歯噛みする。(ぎりぎり)
上を切った卵の殻の中に、カスタードとトリュフのソースが入れられた濃厚な前菜で、そのコクと滑らかさが素晴らしく。
更に添えられていた、ヘラのような形の薄いクッキーが、すごくすごく美味しくて。
ウェイターさんに聞いたところ、Yukon potatoの薄切り2枚にチャイブを挟んで、ぎゅっとプレスして、オーブンで焼いたものだとか。究極のポテトチップ、であったのだな。


最初から、我が家には分不相応なサービスの連続。それもこれも、Wさんご夫妻のご人徳の賜物以外の何物でも。
ウェイターさん達の教育も素晴らしく、5人分・3種類の料理の皿を、数人のウェイターさんが捧げ持ち、一旦私達の背後にそろって並んでから、一斉にそれぞれにサーブする。
その後で、ウェイター頭のような方が(すみません、役職名がわかりません…)、各メニューの説明を。
こういう方法で供されるレストランに、生まれてこの方、1~2回しか行ったことがないので(多分)、やはり嬉しいものだなあ、としみじみする。
同時にその分、かなり緊張してしまうのも、庶民ゆえに仕方がない本音。

コースが始まる前に、すでに胸いっぱい状態だけど、なんの、お楽しみはこれからさ。

(※2010.06.30 記事を修正しました)

(続く)


The French Laundry
6640 Washington Street
Yountville, CA 94599
by senrufan | 2010-06-26 12:05


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