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青い鳥の羽は飛ぶための

「数学を理解するとは、数学という現象を<数覚>という感覚で<見る>ことである。」
   ----- 小平邦彦
       (日本人、数学者、1915年3月16日生まれ)

* * * * *

【レストラン】

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恐れ多くも、私が勝手に”ベジ友”認定させていただいている、ありすさん
彼女から随分前に薦められた、2軒のベジタリアン・レストランがあったんだ。

1軒は、サンフランシスコにあるMillennium。去年の誕生日に訪れたのだけど、期待以上に美味しくて、とても幸せな時間を過ごさせてもらったのだな。
もう1軒も行かずばなるまい、と鼻息荒くしていたのだが、場所がNapaという遠方の地の為、そう簡単に踏み切れず。
そうこうしているうちに、なんとそのレストランが、ミシュランで一つ星をゲットしたというではないか。行きたい気持ちと鼻息は、ここで一気に倍増する。

家族の腰を上げさせる為には、やはりイベントにからめるしか。
ということで、今年の私の誕生日に、とゴーインに決めたんだよ。予約も私がしたんだよ。
……予約時のコメントに、「誕生日です」とこそっと付け加えたのは、寂しんぼの虫がしたことさ。




しっかし、ナパに来るのは、一体何年ぶりなんだか。
ワインに全然造詣が深くない私達は、渡米以来、片手で数えられるほどしか来たことがない。それも、日本から誰かが来た時だけ。
そうこうしているうちに(再び)、ナパのレストランのレベルがぐんぐんと上がっているらしく。客層もあるのか、ミシュランクラスのお店も増えてると。
かえすがえすも、ワインの趣味がないことが惜しまれる。や、家計の為には良いのだ、これで。(うつむいて小石を蹴りながら)

目当てのお店は、ナパのダウンタウン。
店の前に立てられた看板には、「restaurant & Yoga Studio」と書いてある。
お嬢がこれを見て、どうしてベジというとヒッピー色を出すのか、と眉をしかめていたが、いや、ベジとヨガの結びつきは強いのだよ。あとはアロマやホメオパシー、平和に環境に動物愛護。(思い込み)


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簡素な外見と裏腹に、中はとってもおしゃれじゃないか。
ロフトっぽい造りの高い天井、オープンキッチンにバーカウンター。
店員さんがまとうのは、黒オンリー。接客態度も至極良し。

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さて、とメニューを見たものの、珍しいものばかりのオンパレードで、目移りするなんてもんじゃない。片っ端から食べてみたい。
ウェイトレスさんには、1人2品×人数分が標準の適量と考えて、とアドバイスされたし、ここはいっちょ6品か。
といきたいところだったけど、デザートもあることだし、ぐっと堪えて4品ね。(ひがみ目)

メニューのうち、(v)という字がついているのは、Veganメニュー。他のものも、頼めばヴィーガン仕様にしてくれるそうな。


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突き出しに出されたパンは、サワードゥのバゲット。添えられたバターの上、誇らしげに店名がついてるね。

さて、いつもなら日本語メインで記録を残すところ、今回に限っては、メニュー名そのままで。珍しい食材が多い上、ちょっとした仕掛けもあるのでね。
その仕掛けとは、大文字表記になっているのは、お店所有のbiodynamic gardenで取れたもの、なんだという。


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marinated 'forono' BEETS with whipped goats milk
torn brioche, pistachio pudding, honeyed pamplamoose

大好物のビーツだけど、Foronoというのは初めてだ。白いビーツも初めてだ。
ビーツはあまり好きじゃないお嬢も、「これは美味しい」と喜んだ。

ピスタッチオのプティングって、このふわふわの中にも、微かにかりっとナッティーなアクセントがあるもの? ブリオッシュと一緒に食べたら、むちゃくちゃ美味しいんですけど。
おまけに、このきれいな泡々に加えて、この季節、あちこちで見られるレモングラスを、こんなところで活躍させるなんて。
と、一皿目ですでに大騒ぎしてしまったほどの、歴然としたレベルの高さ。


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CELTUCE ala griglia with red miso and burratta
toasted Sardinian pearl pasta, fresh bergamot, 'minutia' MACHE

Celtuce(セルタス)も初めての野菜。セロリとレタスを交配したものだって。
セロリのようなクセはなく、レタスほど弱くなく。ちょっと油っこさがあったものの、本体は青梗菜のような歯応えで美味しいよ。

パール・パスタも初めてだ。Barleyのようなぐにぐにした食感で、味噌味豊かでうまいったら。
上にのってる白いものが、Burratta(ブラータ)というイタリアのチーズ。モッツァレラとクリームでできている。
そのおかげか、見かけはこってりなのに、味付けは濃くなくて丁度良いの。


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young ROOTS with their braised GREENS
ritual coffee jus, SPICED 'garnet' yam & cocoa nib gnocchi

根菜の一つ一つの旨いこと。火の通り具合の程良いこと。ほくほくした食感の嬉しいこと。
それら全てに、ほのかな香りとしっかりしたコクを加えた、コーヒーソースが絡んでね。

カカオニブのニョッキだなんて、考えたこともなかったよ。
デザートにも使えそうなアイテムが、甘すぎることなく、ただアクセントとして、料理の中に顔を出す。


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organic grits from arbuckle, bordelaise with trumpet mushrooms
black trumpet caviar, 'ruby streak' MUSTARD, goats milk ricotta

たっぷりなソースの中に、大好きなエリンギ、もしくはその仲間。(いっしょくた) うん、合う、合う、今度はうちでも真似したい。
更にBlack trumpet(アンズタケの仲間だそう)で作った”キャビア”は、味こそ強くないものの、その食感で存在を示してる。
マスタードに、こんな可愛い名前のものがあるんだね。ルビー・ステーキだなんて、なあ。

Bordelaise(ボルドレーズソース)、すなわちデミグラス。骨髄を出汁に使ったりするところ、ここでは別な作り方をしてるのだろう、と勝手に推測。
すごく滑らかなグリッツと一体となって、とてもコクのあるシチューのよう。
ただ、リコッタチーズのせいもあってか、この日の料理の中で唯一、味が濃いなあ、と思ってしまったもの。
もう少し薄めであれば、舌触りまで含めて完璧だったかな。(あくまで当家比)


至福どころか天国並みの一時の後は、更なる待望のデザートタイム。
が、メニューを見たところ、アイスクリームが多くてね。ケーキの類は、チーズケーキだけ。
チーズケーキはなあ、と逡巡する私に、しかしウェイトレスのお姉さんが、このケーキを絶賛お奨め。
「信じられなくぐらいにふわふわなのよ!
……前にそのセリフを、彼のチーズケーキのお店で聞いて、甘さにのっくあうとされた苦い経験がよみがえる。

旦那とお嬢に異存はなかったので、ではそれと、あとはライスプティングに惹かれるね。
飲み物として、コーヒーやホットチョコレートなども。


ケーキのお皿は、暗めの店内で光るものと、ウェイターのお兄さんの元気な声と共にやって来た。
「Happy Birthday to you!」
ええええ、なんて嬉しいサプライズ! ちょっぴり期待もしてましたが!(正直)
「願いをかけてから吹き消してね」
とにっこり言われて、ふああ、はあい、そうしますう、とすでに腰砕け。

と、嬉しさの余韻に浸りつつ、厳かにローソク儀式などしたい私のそばで、旦那とお嬢はさっさと他のデザートに手を出すところ
せめてそれぐらい待てんのか!(シャーッ!)と威嚇してから、願いをこめて吹き消したよ。
それがたとえお嬢に、何を願ったのかと聞かれて、家族の健康と幸せ、と答えたら、
「なんでそんなつまらないこと」
と言われてしまったものでもな……!(ぎりぎり)(青筋)


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vanilla bean 'cheesecake' in a jar
sour cherry with VERBENA, teeccino-nut crumble

そしてこのケーキ、ほんとにタダモノじゃなかったよ。
瓶を開けて、上のクリームを口に入れたら、これってほんとにチーズなの、と真ん丸目。
ホイップクリームのような舌触りで、甘さはすごく控えめで。
その下に敷かれたナッツのクランブルと甘酸っぱいチェリーを抜けると、ようやく濃厚なチーズフィリングが。
でも、ふわふわクリームと合わせて口に入れることで、ちょうど良い甘さ&食感になるんだね。

今まで食べたチーズケーキの中でも、間違いなくトップ3に入る美味しさに、家族一同、夢中になって食べました。


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rice pudding, SUNFLOWER SEED granola
maple sugar ice cream, CELERY

メープルフレーバーのアイスクリームがメインのような、こちらの一品もんまかったー。
青りんごの、新鮮な甘酸っぱさもグッドだったしね。
欲を言えば、ライスプティングがもっと食べたかったけど、甘くないがりがりグラノラと、クリーミーなアイスやプティングは、いつ食べても良いペアだよね。


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shot of hot chocolate, ritual sweet tooth espresso
vanilla bean whip, chichory doughnuts

ショット、という名前にふさわしく、濃厚で小量な凝縮カカオは、大人も楽しめる強さだね。
添えられたチコリ・ドーナッツが、おかわりしたくなるぐらいの良いお味。カリカリとナッツっぽさも含んでる。


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GreensやMillenniumでは、とても感動したけれど。
Ubuntuで覚えたものは、それに衝撃や驚愕が加わったもの。
と、大げさに言いたくなるぐらいに、その斬新さと味が、新鮮で感激だったのだ。

食べ終わってみれば、最初のウェイトレスのお姉さんのアドバイスの通りかも。つまり、2品×人数分、という見当。
一品ごとの量が結構小ぶりなので(日本サイズ)、4品食べ終えた後も、まだまだいけるなー、という感じであったのだね。まあ、この時の私が、大食い期であったこともあるんだが。(……)
でもデザートを食べ終わったら、どっしりとならない、程好い腹具合に落ち着いたので、我が家的にはこれぐらいでもOKかな、などと考えたり。


改めて、こんな素敵なお店を教えてくれたありすさん、本当にありがとう!(愛)
おかげさまで、2年連続して、充実した誕生日でございました。ええ、たとえ自力でプランしたものであってもね。(泣いてません)

同じく、この時期にお誕生日を迎えた/迎えられる皆様にも、ここでそっと、「おめでとう」を呟かせてくださいませ。
2月末のmame-honeyさん、1日違いのKirscheさん、あと数日のあつゆきちゃんと、ゆみたちさんも3月ね。
みんな揃って、ご家族やお友達の皆さんも揃って、楽しい一年を過ごすことができますように。


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Ubuntu Restaurant
1140 Main Street
Napa, CA 94559-2639
*-*-*-*-*-*-*-*-*

友達数人から聞かれたので、ここでこっそり暴露いたします。
今年の誕生日は、お嬢から何ももらいませんでした

当日も、
「あ、そういえばおめでとう」
と、大変にあっさり・ぶっきらぼうな一言のみで、
私が産んだのは息子だったか、
と思わず錯覚するような、思春期風味の口調だったことを、ここにご報告申し上げますです。

愛はある、と信じたい。ママ大好き、と言ってほしい。
と、母ちゃんは心の中でつぶやく、どころか、
思いっきりハグしながら毎日ねだってやるから、首を洗って待っておれ。(びしっ!)
by senrufan | 2010-03-16 12:37


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