「天才を作るのは高度な知性でも想像力でもない。知性と想像力を合わせても天才はできない。愛、愛、愛……それこそが天才の魂である」
----- ウォルフガング・アマデウス・モーツァルト
(オーストリア人、作曲家、1756年1月27日生まれ)
え、兄貴、モーツァルトと同じ誕生日だったんだ。(独り言)
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【レストラン】
友達がTVのレストラン紹介で見つけてくれた、イタリアンのお店。
そういえば、なんか久しぶりだよなあ、イタリアン。ここのところ、ベジィなお店徘徊ばかりで、普通のお店に行ってなかったよ。って、その”普通”ってなんなんだ。
聞けば、材料の質にこだわり、麺まで自家製の、というじゃないか。
これはぜひ行ってみたいものだよね、と3人で繰り出した。
滅多に来ることのない、隣の市のダウンタウン。場所的にあまり足が向かないけれど、来てみれば良いお店もちらほらと。
そんな中で悠々と、とあるビルの一角を占めるのが、こちらのお店であったのだ。
雨模様の天候に関わらず、店内は窓からの光で明るいよ。オープンキッチンなので、更に開放的な印象。
縦に長いお店のようで、奥にはパーティ用などの部屋もある。
さてさて、何を頼もうか。とメニューを見たら、今日のパスタにアレがあるよー!
日本人なら思わず反応、これは絶対頼みましょう。
あとはサラダと前菜と、噂のあのリゾットをね。
お楽しみのスタートは、やはり突き出しのパンからね。
パンもなかなかだった上に、一緒に出されたソースがうまうまで。
アンチョビっぽい味がする、と思ったけど、ウェイトレスさんの説明では
Green Tapenade。
タプナードというには、もうちょっと複雑な。とにかく美味しいなあ、これ。
前菜サラダは欠かせない。
Biete e Crescenzaは、Organic beetsやescarole(エンダイブ)のサラダ。
以前にトライしてから、すっかりビーツ好きの友達。でも残念ながらご家族好みじゃなくて、家で食べられないんだって。
だったら外食の時に、ぜひ食べて。私達も好きだから、大いに歓迎。
新鮮で程よく歯応えを残したビーツ、舌に嬉しい、目にもきれい。気前良くかけたChianti vinegerに、たっぷりCrescenza cheeseとくるみが風味を添える。
生野菜となると、ついがっついてしまってごめんなさい……(ウサギ)
エビだエビだ、の
Insalata Gamberi。
グリルしたエビの香ばしいことったら。ぷりぷりした身がたまりません。
それ以外に、やはりグリルしたオーガニックトマトとズッキーニもあって、特に焼きトマトが美味しいよ。中のジュースが逃げてないので、つゆだくな味わいににんまりだ。
加えて、大好きなのになかなかお目にかかれない、Macheのサラダ。なんであまり使われないのかな、高いのかな。
そして、メニューに即反応したのは、
Paste Classiche。つまりご存知、Spaghetti Carbonara。
そらあもう、脊髄反射的にオーダーさ。
以前にも書いたけど、このエリアでは、滅多に見かけないカルボナーラ。日本ではすごくポピュラーなのにね。
それでも、日本の普通の店と違うのは、ああ、卵黄だけで作ってる、とはっきりわかる濃厚さ。
それにパンチェッタ、黒胡椒。おまけにこちらのは、パルジャミーノがたっぷり入ってるようで、チーズのコクがかなりのもの。
麺が太めなのは、自家製ならでは。茹で具合の良さも合わさって、少量でもぐっと満足の一皿だ。
そして待望の一皿は、
Risotto Nero。色を見れば一目瞭然、これまた日本では良く食べたのに、こちらでは珍しい、イカ墨を使ったリゾットだよ。
こんがり焼けたNova scallopsと、くったりジューシーな丸ごと焼きトマト。それぞれ分けて、合わせて口に運んだら、
なんで こんなに しょっ ぱ い の 。
衝撃のあまり、思わずセリフまでスタッカート。
気を取り直して、皆で食べ比べたら、どうやら原因はトマトではないかと。
ホタテもリゾットも、トマトが触れた範囲のものは、残念ながら塩害(?)にあっているものの、そこから離れたところは美味しいよ。
ホタテのこんがり加減もほくほくと、リゾットはcuttlefishが混ざって、ぐにぐにした食感。お米は芯が残らず、かといってやや固めの歯応えが嬉しくて。
味のみならず、咀嚼の楽しみもくれるような。染色の楽しみもくれるような。(……)
皆そろって、お歯黒でにっこりだ。(にーっ!)
最後の締めくくりはデザートで。良さそうなお店はトータルで。
選んだのは、2種類のケーキ。
まずは、
Biscottini di Castagne e Cioccolato。Layered chestnut biscuit & marron glace mousseだって。
運ばれてきたのは、予想と全然違うもの。だって、固焼きビスコッティを想像してたから。
そしたら、この灰色がかった茶色のビスケットは、みっちりと弾力のある生地で、栗風味ほんのりのういろう系。
間にはさまれたマロンムースは、ホイップクリームのような軽さだけど、カノーリの中のクリームのように、強めの甘さも持っている。
ビタースイートなチョコレートソースが、大人味に引き寄せる。
もう一品、
Crespelle di Pere e Mele Cotogne。
Red Star Crimson pearの甘煮を、アーモンド生地のクレープに包んだもの。
添えられたジェラートには、quince(花梨)のジャムが混ぜられてる。
これは文句なく美味しいぞ。クレープはかりっと、洋梨はりんごよりしゃきっと。クレープが甘さ控えめなのが助かるね。
クインスも、久しぶりに食べたなあ。去年は見かけなかったので、
ジャムを作れなかったのだけど、この甘酸っぱさがやっぱり良い。
最初にこのお店のサイトを見たところ、どーん!とシェフの写真のアップ。
んでもって、ご本人がいらっしゃいましたよ、厨房に。オープンキッチンだから良く見える。
あちこち回られて、味見をされて、あ、ピザの仕上げまで。合間合間に、マネージャーやお客様らしき方とおしゃべりも。
しかしほんとに、ああいうキッチンは理想だな。
鍋釜ずらりと架けて、自由に取れて、料理ごとの調理スペース。ピザ生地捏ね場に焼き釜、ときたもんだ。
かといって、あんな広いキッチンをあげようと言われても、その分料理しろ、というプレッシャーを感じるからいらないけどね。(痛いぐらいに正直)(もっと小規模なら喜んで)
個人で訪れても、大人数で訪れても、どちらも受け入れて、押し付けがましくなく場を提供してくれる、そんな心地良さ。
サービスも上質で、うるさくすることなく目配りしてくれる。
料理もサービスもそろってることに加えて、お店の造りも素敵、そしてどうやらワインもしっかり押さえてるらしい、となれば、人気がでない方が不思議ってもんだろう。
唯一の不安は、場所ぐらい? あ、でもそれは、私の周りでは、というだけなんだけど。
今まで訪れたお店はどこも良かったし、友達に薦められている店もあるので、個人的には開拓したい街ではあるのだが、それには付き合ってくれる人がいないとなあ。
DONATO ENOTECA
1041 Middlefield Road
Redwood City, CA 94063