慕い続けて幾星霜

Human Rights Day
Constitution Day (Thailand)

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【イベント】

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数ヶ月前から指折り数えて待っていた、クラシックコンサートに行ってきました。
ドイツから海を渡ってサンフランシスコまで、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団がやって来てくれたのです。
2日間に渡って、ブラームスの交響楽を奏でる夕べ。
二晩続けて足を運んで、夢見心地の数時間を過ごしてまいりました。


一般向けチケットのオンライン販売がオープンになったのは、忘れもしない、8月20日の朝10時。
数分前からPCの前に陣取って、今か今かと待ち構え、開始と同時に、それっ!とばかりにチケットの申し込みにかかったのであります。
1日目は友人のRogiさんと2人で、2日目はRogiさん・友人のMさん・我が家と、それぞれ家族で行くことにしてたので、皆で揃ってネットと格闘したのでございますよ。ああ、懐かしのちけっとぴあ。
といっても、予想通りに集中したのか、すんごおおおおくくくく回線が重くて重くて、終了まで手に汗握る数十分を過ごしました。

1日目の大人のデートは、奮発して高い席で。2日目の家族鑑賞は、下から2番目の安い席(おい)。あ、我が家は勿論、母子家庭の2人分。
画面に無事、「Thank you!」の文字が出た時は、思わずバンザイしちゃったですよ。


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学生時代にオーケストラに所属していたくせして、純粋無垢のまま(つまり無知)卒業した私ですが、ベルリン・フィルには、実はそれなりに思い入れがございます。
以前も少々書いたのですが、ナンチャッテ英国ファンであると同時に、昔からドイツ文化にも惹かれておりまして。
特に音楽は、曲は勿論ですが、ドイツの”音”がとても好きなのです。

私がやっていたオーボエには、ざっくり分けて、3種類のリードがあります。フレンチ(フランス式)、ジャーマン(ドイツ式)、アメリカン(アメリカ式)。
えーと少なくとも、ン十年前まではそうでした。(うつむきながら)

オーボエを始めるに当たって、断然惹かれたのは、ジャーマンの重く太い音。選んだ楽器も、東ドイツ(当時)のメーカーのもの。
そんな私が、ベルリン・フィルの音を好むのは、当然すぎるほど当然のことであったのです。

日本だったら、来日公演があっても、そのチケットは到底手の届く値段ではなかったと思うので。
サンフランシスコエリアにいられたことを、心から喜んだことは言うまでもなく。
とは言ってもここ数年、ベルリン・フィルの演奏は、CDでさえもまともに聴いていなかったので。
Sir Simon Rattleの指揮の下、今では一体どんな音を鳴らしてくれるのか、そんな楽しみと期待感を、溢れんばかりに抱えて行ったのです。




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演奏曲目は以下の通り。
1日目

Brahms Piano Quartet NO.1 G minor, Opus 25, orchestrated by Arnold Schoenberg
  Allegro
  Intermezzo:Allegro ma non troppo;Trio;Animato
  Andante con moto
  Rondo alla Zingarese:Presto

Brahms Symphony NO.1 in C minor, Opus 68
  Un poco sostenuto - Allegro
  Andante sostenuto
  Un poco allegretto e grazioso
  Adagio - Piu andante - Allegro ma non troppo, ma con brio


2日目

Wagner Prelude to Act 1 of Die Meistersinger von Nurnberg

Schoenberg Camber Symphony NO.1, opus 9b

Brahms Symphony NO.2 in D major, Opus 73
  Allegro non troppo
  Adagio non troppo
  Allegretto grazioso (quasi andantino)
  Allegro con spirito

ビンボー人のくせになぜ二晩も、という罵倒は、何度も我が身に与えたのですが。
1日目のブラームスの1番は、私が交響曲の中でも最も好きな曲で。2日目の「マイスタージンガー」は、自分でも演奏したことのある、これまた大好きな曲でして。
それがベルリン・フィルの生演奏で聴けるとなったら、どうしてもどちらも諦められなくて、こんな暴挙に出たのです。ゴクツブシのくせに。

しかしベルリン・フィルが、国外でワーグナーを演奏するようになったんだなあ……
や、私が無知なだけで、今ではずっと前から、普通に行われてることかもしれませんけれど。


会場は、サンフランシスコのDavis Symphony Hall
初めての場所でしたが、2階・3階と十分な広さを持ち、かつ音響は上階隅まで行き届く、至極良いホールでございましたよ。
日本でいえば赤坂のサントリー・ホールのように、ステージ後ろにも席がある形。ちなみに、ステージ真後ろが一番安い席($15)。

この会場で、1日目はこの辺りの席で。

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2日目はこの位置で、演奏に酔ってまいりましたです。

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メンバーリストを見たら、日本人の名前がちらほらあって、思わずガッツポーズ。日本を始め、アジア圏の音楽教育のレベルの高さは、ほんとに目覚しいものがありますね。
ベルリンの日本人団員では、コンマスを長年勤められた安永さんぐらいしか知らなかったのですが、今では引退されて、その後任として、1st Concertmasterに樫本大進さん、1st Violinsに町田琴和さん、ヴィオラのPrincipalに清水直子さんのお名前がありました。でも今回、樫本さんは残念ながら来米されませんでしたが。

町田さん・清水さんを、間近で拝見することができたのは幸甚。
ただ、町田さんはご自身の表情も豊かでいらっしゃいましたが、清水さんはその美女ぶりに似合わず(?)、ずっと眉間に皺を寄せて、終始厳しい表情のまま。1日目は、舞台の袖に引き上げられるまで、1回も笑顔を拝見できませんでした。(しくしく) 2日目は笑われていたのかなあ。

日本国外で活躍する日本人で、しかもはっきりと賞賛を得ている人について、耳にするたびに。
政治の世界の会談などより、ずっと大きなことを成し遂げていらっしゃるという、胸にずんと響く重さを感じずにはいられません。
加えて樫本さん達の場合、東洋を見下し続けた西洋のクラシック音楽界で、一流楽団の首席という地位を得て、それを数年確保し続けていらっしゃるということのすごさは、到底簡単に語ることのできないものであるのです。


演奏は、本当に、本当に素晴らしい出来でした。
生での演奏なので、当然細かいアラや失敗はあるのですが。そんなものを全て包んで飲み込んでしまう、あの懐ろの豊かさは、さすがベルリン・フィル、というほかありません。

1日目は間近で聴いたので、特に弦の迫力に押されましたが。
2日目、2階の奥で聴いても、管の遠鳴りと伸びは素晴らしく。
どちらも、最終楽章のクライマックスに入るところで、文字通り鳥肌が立ちました。

オーケストラによって色々と特色はあるのですが、ベルリンの場合、ひしひしと感じるのは、重低音の支えの力強さです。
コントラバスとチェロの、流麗で濁りのない、堅固な基盤を得てこそ、バイオリンや管楽器があれだけ生きてくるのだ、と改めて感じ入りました。

かといって、管楽器が対照的に軽やかであるか、といえば、そこはやはりベルリンらしく、芯の通った太さは共通してて。
ベルリンといえば、どうしても対照に引き出されるのが、かのウィーン・フィル。彼らのあの、目の覚めるような輝きのある音に対してベルリンは、表面の輝きこそ渋めであるものの、はっきりとわかる潤沢な質の高さと、手にとった時のずしりとした重みのある手応え。
それらは、両者の差は上下に位置するものではなく、あくまで我々サイドに委ねられたものであることを教えてくれるのです。


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これは、Rogiさんと話していたことなのですけど。
10数年前のベルリンとは、音が確実に変わってるね、と。

以前はもっともっと、重く、厚く、一糸乱れずといった印象の強かったベルリン。
ドイツという国の持つイメージもあるのでしょうが、”ドイツの生え抜きの職業音楽家”中心で結成されていた楽団であったと思うのです。
それが今回は、もっと明るく伸びやかになって、より一般向けになった印象を持ちました。

それは、日本人のメンバーが増えたことからも察せられるように、外部のメンバーを積極的に迎えるようになって、他の”血”が入ってきたから、とか。女性の割合がぐっと増えたから、とか。
更にはRogiさんが指摘した通り、東西ドイツの統一による影響も大きかった、と思われます。

後で調べたところによると、現在の常任指揮者のサイモン・ラトルになってから、政府との繋がりも断ち、完全な独立音楽団体となっているそうで。
逆に言えば、政府からの資金援助もなくなったのですから、団員は今までのように、ベルリン・フィル一途ではいられなくなったわけで。生活の為に、団外の活動にも積極的にならざるをえなくなったことが、集まるメンバーの質とカラーに大きな影響を及ぼしたことは、想像に難くありません。

ところで旧ソ連&東欧圏の芸術・スポーツ活動の、冷戦後の変化については、私自身、とても複雑な思いを色々と抱いているのですが、今ここで、それについて語る余地はありませんね。
(後日、2回に分けてつぶやきを書きました:12

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鑑賞後の感激は、その余韻が、3週間経った今でも緩やかに残っているほどで。
正直、終わった直後は、当分他のオーケストラは聴きたくない、と強く思い。このぬくもりが消え去るぎりぎりまで、大切に温めて、愛しみたくて。

米国に来てから、随分と音楽から遠ざかってしまっていて。それは、自分のアクティビティの内容やレベルが、子供の成長と共にあったから、というのが大きかったのでありますが。つけ加えるならば、それはとても楽しい経験であったのですが。
以前の鑑賞レベルに近づいてきたのは、思い返せば、2年ほど前からようやく、であったかと。

お嬢が常に私の念頭にある中、ゆるゆると自分を慣らして、昔のような刺激に再び会えるようになってきたことを、素直に喜んでいたところ。
このコンサートで遭遇したものは、その昔であってさえも数年分の、奥行きと深さを持つものでございました。

これが鎮まって、自分の一部となった頃に、また地元オーケストラなどのコンサートに出かけてみたい、などと考えているのです。


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Berliner Philharmoniker (ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団)

Davis Symphony Hall
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ちみっと余談、端っこ話など。

観客層は、ある程度の年齢以上の方がほとんど。年配の方々も多数。
大人は正装の人も多く、一定レベル以上の服装で礼を示していましたが、ちらほらと見かけるティーン達は、パーカーにジーンズだったりも。


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こういう場に慣れている音楽ファンが多いのか、休憩の時は、カフェやバーで飲み物を手に入れて、ロビーでくつろぐ姿も堂に入ったもの。
テーブルで、アイスペールに入れられたシャンパンを囲む、正装の紳士淑女の皆様も。


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コンサートや観劇では、こんなショップも楽しみの一つ。
ホリディシーズンということもあって、クリスマスギフトも色々と揃っていましたよ。
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by senrufan | 2009-12-10 09:23 | Trackback | Comments(8)
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Commented by ayumin_moo at 2009-12-12 16:49
ベルリン・フィル!いつか私も生で聞いてみたいです。
といっても、CDですら聞いたことがないと思いますが。(恥)
お嬢様が小さいときはゆっくりコンサートに行くこともできなかったかもしれませんが、こうしてお嬢様と一緒に最高の音楽を楽しめるようになられたのはなんとも感慨深いものですね。
オケを少々かじっていた私も、どちらかというと重厚感のある演奏が好きです。
きっとベルリン・フィルは私好みのものと思われるので、まずはCDから聞いてみようかな。
その前に、クラッシックを聞くと(弾くと)眠くなる体質をどうかしなければ。

ちなみに、バイオリンをもう一度習いたいと思いつつ「高くて買えない」という現状をつきつけられ、今日、ウクレレを衝動買いしました。
ダンス教室にウクレレのクラスがあるので、参加しようと思っています。
Commented by mame-honey at 2009-12-12 18:56 x
素敵な時間を過ごされましたね〜、私もいつか聞いてみたいなあ、、。クラッシックはとても興味があるのですが色々なCDがありすぎてどこから攻めたら良いのかと悩んでチャレンジできずです(苦笑)好きな小説でクラッシック音楽が効果的に使われていたりするともの凄く聞いてみたいなって思います。
Commented by ゆう at 2009-12-12 21:27 x
こんばんは、ゆうです♪
素晴らしい音楽の一時を過ごされたのですね♪
娘さんも一緒に、なんて素敵な時でしょ~
日本では、クラシックコンサートは高いのです・・・・
でも、年に数回義姉と行きますが♪
あの独特の音色を聴くと心が豊かになるような気がします
大晦日かお正月にNHKでコンサートをやってるのを
見ています・・・聴いていますかしら?!
今年も、季節がやってきます!楽しみです♪
Commented by Rogi at 2009-12-13 02:50 x
2日間、至福の時でした。特に1日目、思い切って良い席を取ったのが大正解!みゆきさんがご一緒してくれたおかげで実現できました、感謝です! ベートーヴェンの第10とも言われる、ブラームスが推敲を重ね20年を費やして完成させた交響曲第1番。終楽章のテーマ、重厚な弦の響きが流れ出した時、ホール全体が嘆息のような、あぁ終わって欲しくないというような空気に満ちましたね。あの感覚は生演奏を聴かなければ味わえないもの。私にとっても久しぶりに、しかも世界最高峰のオケの演奏でその空気の中に身を置けたこと、本当に感動的でした。初めてベルリンフィルを聴いたのはず~っと昔、15歳の時。今回娘達は当時の私とちょうど同じ年齢にベルリンフィルを聴いたことになり、そういう意味でも感慨深いものがありました。演奏に関しては色々と思う所があり…記憶が鮮明なうちに整理しなくちゃと思ってます。それもこれも含め、またおしゃべりしましょうね!長々ごめんなさい!
Commented by Miyuki at 2009-12-13 12:58 x
*ayuminさん
ぜひぜひ、いつか聴いてください! きっとまたSFに来てくれるのではないか、と大いに期待しつつ。
そうなんですよ、娘達も一緒に楽しめるようになったのがまた嬉しくて。それどころか今では、彼女が忙しすぎて遊んでくれない、とすねる始末です。
バイオリン経験者のayuminさんなら、あの弦のすごさをあまねく楽しんでいただけるのではないかと思いますぞ。たとえ眠ってしまっても、きっと極上の夢をもたらしてくれるに違いありません!(ぽじてぃぶ)

おおっ、ウクレレ、それはいいですね~! 実は私が初めて自分のお金で買った楽器がウクレレでした。うんうん、私も何か楽器を始めたいなあ。
クラス、楽しんでくださいね~。そして目指せ、ウクレレ侍(違)
Commented by Miyuki at 2009-12-13 13:01 x
*mame-honeyさん
はい、とってもとっても素敵でしたvv SFエリアにいられて幸せです。
確かにクラシックは色々なので、まずは地元のサンフランシスコ・シンフォニーあたりから、とか。私はいつもカーラジオで、102.1(クラシック専門チャンネル)を聴いてます、えへ。
Commented by Miyuki at 2009-12-13 13:04 x
*ゆうさん
こんばんは!
そなんです、娘や友人と一緒に行けたというのが、また良かったんですよね~vv
そうそう、日本では国外オケはむちゃくちゃ高いですよね……ベルリン・フィルだったら、きっとチケット10万円とかですよね。でもおっしゃる通り、やっぱり生の音は、もたらしてくれるものが大きくて。
お正月といえば、ウィーン・フィルのニューイヤーコンサート! 一昨年・去年と日本で正月だったので、ばっちり聴きましたです♪ 今年の指揮者は誰なんでしょうね?(わくわく)
Commented by Miyuki at 2009-12-13 13:11 x
*Rogiさん
感謝はこちらから百万回! ほんとにお付き合いありがとうでした!
あのテーマの始まりは、鳥肌が立った後、なぜか泣きそうになっちゃいまして。あんな凍るほどの感動を覚えたのは、本当に久しぶりでした。生マジック極まれり、でしたね~。
そうよね、Rogiさんが高校生の時だったんだもんね。今回、娘達が全く同じ体験をしたんだねえ。15歳という多感な時期に、最高峰のオケを聴かせられて良かった、良かった。彼女達が大人になった時、あのコンサートについてどう思い返すのか、今から楽しみな気がするよ。
ベルリンについては、まだまだいっぱい話したいことあるよね! それだけじゃなくてね! うん、また会っておしゃべりしようね~vv


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