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たまさかに味わうべき甘美

Democracy Day (Czech Republic)
Anniversary of the Revolution (Mexico)


今月13日は、金曜日でしたね。
別に、なんとも思ってなかったんですけどね。

今回はちみっとだけ、信じちゃおうかな、なんて、ちょっと遠い目になりました。




だって今年はこの日から、手のしもやけが始まったから

* * * * *

【買い物】

ayuminさんとのサンフランシスコ・ツアー、最後に訪れたのは。
巷で美味しいと評判の、とあるチーズケーキ屋さんだったのだ。




ベジィになってからも、時々食べたくなる動物性食品は、卵とチーズ、ヨーグルト。
菜食にするまでは、ほぼ毎日のように食べていたものなので、やっぱりたまに恋しくなるんだな。
特にチーズは、日本にいた頃は、キャンディチーズが常備品。高級品じゃないところが、大変アタシらしいです。

チーズケーキも、幼い頃からの大好物。
中でも、モロゾフのベイクドタイプのチーズケーキは、初めて食べた時、世の中にこんなに美味しいケーキがあったのか!と、幼い身を震わせて感動したもんだった。いやほんと。
逆に、その後で新しく出回り始めたレアチーズケーキ、これは最初はあんまり。
というか、初めて食べたのは、母の手作りだったのだけど、そのみっちり詰まった濃厚な味と食感が、お菓子が主食だった私でさえ、くらくらするほどに強烈で、数口食べるのが精一杯だったんだな。

しかし今思えば、あれはレアチーズじゃなくて、ニューヨークスタイル・チーズケーキだったなあ、と。
最初こそ強烈だったものの、いつの間にやらクセになり。時々思い出しては、小さいピースを買ってきて。
フォークで少しだけ口に運んでは、んーー濃厚っ、と、コーヒーか紅茶と共にじっくり味わう、なんて大人になっていた。(遠い目)
そしてこちらに来てからは、チーズケーキといえば、大多数がこのタイプ。モロゾフのような、あの酸味が強い、ふんわり・しっとり系にはお目にかかってない。(つか、探してないだろうオマエ)


ところが、たまたま目にした、サンフランシスコのチーズケーキ屋さんの記事。
皆さん、口をそろえて、
「ふわっふわで軽い!」「こんなチーズケーキ、初めて!」
とおっしゃってる。中には、
世界一の味だ
なんてゆう大絶賛も。
あまりにふわふわな為、ナイフではなく、添えられたテグスで切るのだ、なんてことも教わった。

この評判を目にした時、私の脳裏と舌に浮かんでいたのは、モロゾフのベイクド・チーズケーキであったことは言うまでもない。
今では、チーズケーキといえば、ローのが一番好き、なんて思うようになっちゃってるけど。
そんな私でも、これは試してみる価値アリかも、と思ったのだ。


     DSCF1525

一瞬、コスメショップ?なんて思ってしまうような、シンプルな店構え。
店に向かって、右側のウィンドウから見えるのは、山ほど積み上げられた紙の箱。
左側には、座って何やら作業をしているおじいちゃま。

しかし、このおじいちゃまったら、私達が店に入っても見向きもせず、声もかけず。
えーとえーと、と躊躇してたら、もう一人のおじいちゃまが厨房から出てこられたよ。


     DSCF1521

このおじいちゃまは、正反対に大変優しくて。もしかして、この落差でお客嬉しがらせる為に、いい刑事・悪い刑事ペアを演じてますか。(邪推)
私達が、こちらのケーキは初めてだ、と言うと、にこにこ笑顔を絶やさずに、懇切丁寧に商品の説明をしてくれたんだよ。


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ブルーベリーやチョコレートなどのフレーバーもあるけれど、初めてだったら、まずはプレーンを試すべきだね。
ホールケーキのみで、Small・Medium・Largeと、3種類のサイズがあるので、好きな大きさを選んでね。
冷蔵でも数週間もつし、冷凍すれば3ヶ月はもつよ。但し、長く置くと、更に冷凍すると、ケーキはだいぶ重くなるから、軽いのが良ければ早めに食べた方がいいね。
冷凍したなら、食べる数時間前から室温に置いておいて。

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このケーキはすごくふわふわだから、ナイフで切っては崩れてしまうので、箱の蓋についてるテグスを使って切るんだよ。
まずこうやって、両手で糸を持って、ケーキの半分に当てて、下までおろす。そしたら、決して上に糸を引き上げたらいけない、ケーキが崩れてしまうからね。
こうやって、片手で糸の端を押さえて、反対の手でそっと引っ張って糸を抜く。そうすれば崩れずにカットできるんだ。
これを数回繰り返せば、ピースに分けることができるんだよ。……

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懇々と説明を受けている間、ひたすら無言で作業してた、もう一人のおじいちゃま。
何をやってらっしゃるのかと思えば、このテグスを1本ずつ輪に巻いては、箱に貼り付ける、という作業をやっていたのだね。
いやいや、見事な作業分担です。


おじいちゃまが何度も繰り返しおっしゃったのが、「甘さは控え目だよ」の一言。
はい、その方が嬉しいです。私達も答えたよ。
甘さ控え目で、ふわふわで。そう思っただけで、私の頭の中では、モロゾフのケーキが踊ってる。
こちらのケーキは、外見からして、ベイクドではないけれど。あの味に近いと嬉しいなあ。

優しいおじいちゃまに何度もお礼を言って、用意してきたクーラーボックスにそっと箱を入れて。
わくわくの期待感いっぱいで、帰路についたのであった。
*-*-*-*-*-*-*-*-*

帰宅してから、お嬢の前で、教わった通りに切ってみる。
確かにふわふわだけど、日本のチーズケーキには、このぐらいの柔らかさのものは沢山あるから、テグスはある意味、ちょっとした付加価値というか、器用さを身につけるより道具に頼る米国流というかね。(ぺろっと舌を出す)
でも、丁寧に説明してくれたのが嬉しかったので、お説の通りに、最後までテグスで切り分けた。

そして、待望のお味見だ。
甘さ控え目なんだって、好みの甘さ加減だといいねえ、と話しながら、ぱくっと一口。


むっっっちゃくちゃ濃いですおじいちゃま。(撃沈)


そうだった、ここはアメリカだったんだ……
このテの経験を、何度繰り返しても懲りないアタシと、相変わらず恐るべしアメリカン舌に、思わず口を押さえたのであったが。
少なくとも、数秒でその衝撃から立ち直るほどには、アメリカの味に慣れてはいたんだな。



     DSCF1536

ということで、もう一口じっくりと味わってみる。
うん、勝手にモロゾフの味を期待した私が悪いんであって。(反省)
これは正に、NYスタイルをふわふわにしたケーキだね。
あの濃厚な味が、食感を軽くしたことで、口溶けの良さが加わって。元々NYスタイルが好きな人には、とても好みのケーキだろう。

通常のNYスタイルだと、下にグラハムクラッカーのクラストがあるけれど、これは上にパウダー状にしたクラッカーが振ってある。
だから、チーズケーキだけを純粋に味わいたい人には嬉しいだろうし、食感がふわふわ一色なのも良い。

私には鼻血が出そうな甘さと重さだったので(すいません)、3口でギブアップしたけど、お嬢は小さいピースをとって、ゆっくり時間をかけて味わってたよ。
そうだね、ふわふわ感からすれば、一気に食べてしまいがちになるところ、味の濃厚さのおかげで、長く楽しめるんだよね。


その後、冷蔵庫の中で日数を置いて、重くなったケーキも食べてみた。
ふわふわ感はなくなるけれど、それでもNYスタイルよりは軽めで、味は更に濃厚になったかな。
私には濃すぎる味わいだけど、チーズケーキが国民的ケーキ(偏見)なアメリカの人達が、このケーキのファンになるのは良くわかるなあ、なんて。

ベイクドが最高、と思ってた私が、いつしかレアチーズやNYスタイルを、数口ずつでも時たま食べたくなるよう、舌が嵌っていったように。
しばらく時間が経った後に、またここの味をふと思い出して、食べたくなって買いに走るかも。

そしてその時に恋しく思うのは、味と共に、職人気質のおじいちゃま2人、なのかもしれないけれど。


Zanze's Cheesecake
2405 Ocean Avenue
San Francisco, CA 94126
by senrufan | 2009-11-17 11:53


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