小さな足の、大きな一歩 (5)

先日、frogfreakさんのおかげで、ふと思い出したお店がありました。
日本の静岡にある、子供の本とおもちゃの専門店です。

渡米した時、お嬢は2歳6ヶ月。
引越しの際には、思いつく限りの児童書は持ってきたのですが、なんせ本には我慢がきかない母子なもので、読みたいお話はきりがなく。
また、市販のおもちゃに興味を示さない子ではあったのですが、ふさわしいタイミングで適宜与えていきたい、と思ったのと、その際に与えるなら、自然素材の素朴なもの・想像力で応用がきく玩具がいいなあ、と考えて、その手のおもちゃを模索して。

そんな時に、こちらのお店にお世話になったのです。

メールでの問い合わせに、毎回丁寧・迅速に答えてくださって、通販も海外発送OKなのが、大変ありがたく。
里帰りの際に、お嬢と一緒にお店を訪問したのですが、狭いスペースの中にぎっしりと詰め込まれた本や玩具が、どれも温かいぬくもりのあるものばかりで。
本店の近くに設けられたショールームでは、大型の木の玩具で遊べるスペースになっていて、ひとしきり楽しそうに遊んでいたお嬢の姿を覚えてます。
輸入玩具も多く、よってお値段はイタタ、でもあったので、玩具のインフォメーションをもらって、自分のエリアで探したりしたものでした。

b0059565_12291766.jpgお店を訪れた時に、店長さんにお会いして、対応してくださったことのお礼かたがた、しばらくお話しさせていただいたのですが。
実は、その店長さんが書かれた、子育て本もあるのです。
育児書の類いはほとんど読まなかった私ですが、これはその時の私には、読んで納得できた本として、心に残っています。
ご本人と同じく、穏やかで温かいのですが、芯はしっかり通ってる、という本です。


思い出してみれば、こちらのお店を知ったのは、その頃登録していた「国際結婚」「海外育児」フォーラムからでした。
バイリンガル関連にとどまらず、様々な情報をいただいた場所でした。


子どもの本とおもちゃの専門店「百町森(ひゃくちょうもり)」

「プーおじさんの子育て入門」

* * * * *

【雑事】

4. 言語の使い分け

二ヶ国語以上を話す子供にとって、意外と大変だなあ、と感じるのが、言葉の「使い分け」です。
大人もそうですが、自分にとって楽な言葉の方が使いやすいわけで。周囲がそれを許す環境にあると、子供が「チャンポン」言葉で話したくなるのは、避けがたいことなのでありますね。




この「チャンポン」については、ご家族それぞれの価値観があると思うので、基本的にはそれに従えば良い、と思いますが。
チャンポンというのは、英語としても日本語としても、正しくない・綺麗ではない状態であることは否めないので、そういう「混用型」バイリンガルをどう考えるか、ご家族で決めておかれた方が良いのかもしれません。
と申しますのは、子供はどうしても、親の反応や態度によって習慣を作っていくものなので、親が許せば、自分にとって楽な「混用型」になりがちだから、なのですね。

個人的には、話し始めは「混用」でもいいかと思うのですが。
そこで「だめ!」と厳しくして、英語嫌いになっても困るので。
しかし、その後の対応をどうするか、ということは、ひいては「母語をどうするか」という問題でもあるわけです。


日本人家庭で、いずれ日本に帰国する予定である場合、やはり母語は、考えるまでもなく日本語であるのですが。
永住とまではいかなくとも、当分日本に帰る予定のない場合、もしくは国際結婚されていて、ご夫婦での母語が異なるケースなどでは、慎重に考えられる必要があるのでしょう。

親側から「使い分け」を働きかけていく為には、どんなことができるでしょうか。

環境を分ける
学校では英語、家庭では日本語、といった形で、場所によって明確に分けるのが、子供としても分かりやすく、従いやすい。

ちゃんぽんを避ける方向に持っていく
日本語に英語を混ぜる形で話した時、さりげなく直しながら会話を進める。
  例 : 「あのね、tomorrowにschoolでね」
      「うん、明日学校でどうするの?」

言葉を探してつまった時、先回りすることはほどほどに
子供が自分で引き出せるような手助けができればベスト。(難)

こちらの言葉を逐一説明しない
先回りして説明を頻繁に加えると、わかる言葉だけを拾って、わからない言葉は聞き流すクセがつきやすい。

日本語は出来る限り日本語で説明する
わからない言葉を聞かれた時、相当する英単語で言うより、平易な日本語を並べて説明した方が良い。

本などで見られるアドバイスは、ざっくりこんなところとして、後はご家庭ごとに試行錯誤されたら良いのでは、と思います。
*-*-*-*-*-*-*-*-*

68億人のうちの、お嬢という1人の例では。
彼女が使い分けできるようになったのは、渡米してから2年半たって、初めて日本への一時帰国をした時以来、でございました。

あくまで個人好みですが、私はちゃんぽん言葉が苦手でございます。
テメエ自身は、混ぜようにも英語の能力が低すぎてデキネエ状態なので(…)、ちゃんぽんになる恐れは全くないのですが、人様からそういう文章で語りかけられるのも、実は内心は苦手なのでございます。

問題なのは、海外在住の日本人相手だったら、ちゃんぽんでも受け入れられる、というところ。
特に、子供からちゃんぽんで話しかけられたところで、かわいいから許してしまうんですよね。加えて、それは親御さんの決めることであって、口出しはしたくない、という気持ちもありますし。

しかしそれは、日本に住む日本人には通じない。
ましてや、日本以外の人には通じない。
そういう言葉なのだということをわかっておかないと、と自分には言い聞かせ。


お嬢が4歳になり、現地のPre-Kinderに行くようになって、英会話もそれなりに形になってきた時期。
ちゃんぽんこそ、あまりやりませんでしたが、私に向かって英語を口にする時も増えてきた頃で。
最初は喜んでましたが、そろそろやばいと思い、私は日本語オンリーで通すように心がけておりました。
いずれ日本に帰るわけだし(2年後にね…)、そうなったらどうせ消えてしまうだろう、とどこかで楽観視していたところも。

が、さすがに青くなったのは、彼女が高熱を出した、とある晩。
熱で頭が朦朧となった時、話しかける私の顔を見て、こう言ったのです。

「Why are you talking to me? You are not my mother」

そしてその晩のうわ言が、ほとんど英語であったのですよ。

その日以来、ますます日本語での話しかけに拍車をかけたのですが、そうそう簡単に効果が出るものではないので、はてさてどうなるやら、と思っていたのですね。


そんな時に、日本に初めて里帰りして。実家に滞在して、どっぷり日本語オンリーの時期を過ごし。
戻ってきた時の空港で、アメリカ人のおばさまに向かって、たどたどしくも英語だけで話しているお嬢の姿がありました。

その時に思ったのは、
たかだか10日間程度の日本滞在でも、あの年齢では簡単に英語が消えてしまうんだ、
ということと同時に、
どうやら相手によって、使い分けする知恵がついたようだ
という、予感めいたもの、であったのです。

その予感は当たり、以来彼女は、日本人の前では徹底して日本語しか話さなくなりました。
どうしてもわからない場合があっても、なんとか知ってる範囲での日本語で表現しようとしたりと、彼女なりの努力が見られたのですね。

彼女によれば、
日本人の前で英語を話すのは、恥ずかしいし不自然
という思いがあるようです。
日本語が通じる日本人に、なぜわざわざ英語で話す必要があるのか、ということだそう。

日本の歌謡曲など、英語がちらほら混じるので、最初はすごく抵抗感があった模様。
日本語補習校では、休み時間になると英語で話す子も多いのですが、彼女は英語で話しかけられても、日本語でしか返さなかったので、お嬢は英語を話さないのだ、と思っていた子もちらほらいたとのこと。


そんな彼女は、日本語・英語に加えて、
日本人との会話の時、英語を入れる時は、カタカナ発音で話す
という技を、いつの間にやら身に着けました。

それもこれも、ネイティブ発音の英語で話しても全く理解できない母を持ったが故、でありました。家庭内サバイバルの法則その1。
彼女は母ちゃんに、心の底から感謝すればいいと思います。(ふんぞり返りながら)
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by senrufan | 2009-06-17 12:24 | Trackback | Comments(6)
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Commented by すれっぢ at 2009-06-19 21:54 x
>そんな彼女は、日本語・英語に加えて、
>日本人との会話の時、英語を入れる時は、カタカナ発音で話す
>という技を、いつの間にやら身に着けました。

いいくだりです~。懐かしいマイケル富岡に見習ってほしいです。
日本語で話してて急に本物英語の単語を挟むのはびっくりするでしょ
って(笑)

知人の日系2世おばあさんがいますが、ところどころ日本語がちゃんぽんになり、かえって何言ってるかわかんないんですよね。本人は一生懸命日本語を使おうとしてる努力は認めるのですが。
Commented by ありす at 2009-06-20 05:28 x
言葉の使い分けと言えば・・・私は日本語版ありすと英語版Aliceでは性格が微妙に違う!と言われます。

英語の方が甘え上手で日本語だと「ツンデレ」タイプらしいです。じつはこのズレを直そうと思い、日本語の語彙や言葉の使いまわしの研究にもブログを書いている訳なんですが、これって私の性格が二つの国の文化の違いと交わった結果を反映しているんでしょうか・・・?
Commented by こっぺ at 2009-06-20 07:16 x
お嬢様の言語のセンスはほんとうにすごいなあ、と感心せずにはいられません。使い分けの必要性などはなかなか気づけることではないし、実行も難しいことだと思います。
使い分けの難しさは最近感じるようになりました。だんだん外の世界との接触が増えてきて、私と息子だけの問題じゃなくなってきたというか。細かいことで、例えば公園で息子が他の子にちょっかい出した場合、英語で謝らせるのか日本語で謝らせて私がその子に英語で言うのかそれとも私が謝るのか(いやそれはちょっと違うような)。ちゃんと説明できなくてすみません。英語でのプレイデートもたまーにしかやらないですがだんだん混じってきて混乱してしまいます。
私も英語を話しているときは日本語の時の自分と性格が違います。もっとグチっぽくなるんです。それがいやで英語話したくありません。どうして変わるんでしょうね?
Commented by Miyuki at 2009-06-20 10:48 x
*すれっぢさん
マイケル富岡、懐かしい! あの人は今……(笑)
彼の場合は、芸の一部として、本物発音にしてたんでしょうかねえ。

やっぱり普段使い慣れている言葉が咄嗟に出ますもんね~。でも私は単純なので、たとえば日本語を習ってるアメリカの人が、日本語をちゃんぽんでも使おうとしてくれたら、それだけで喜んじゃったりしてます、えへへ。
Commented by Miyuki at 2009-06-20 10:58 x
*ありすさん
そうそう、その「性格の差」、結構な人数の方が感じてらっしゃるみたいですね! じゃあ、私がお会いできるありすさんはツンデレだと(笑)

そおゆう理由もあったんですか、ありすさんのブログ! 日本語のことを本当に真摯に考えてらっしゃるなあ。(じ~ん)
これは全くの私見なのですけど、その言葉を使う時に、「周囲にいる人々」「期待される価値観」を自分なりに察して、言葉に反映させているところがあるのではないかと。科学的に見れば、英語と日本語では、脳の使う領域が違ったりするらしいので、そんなところの影響もあったりして、なんて(大嘘)
Commented by Miyuki at 2009-06-20 11:09 x
*こっぺさん
や、あれはセンスというより性格ですよね、きっと。お嬢のような子も沢山いましたし、逆に全く気にせず、ちゃんぽんでもなんでもガンガンしゃべる子も。慎重で周りを気にするタイプか、ゴーイングマイウェイか。
そう、外での対応は難しいですよね~。私も、外ではなるべく英語にするようにはしてたのですが、能力的な限界が大きくて(涙) でも使い分けの問題だけでなく、周りの人からしたら、こっちが日本語で話してると、何を言ってるのか不安になったり不快に感じる人もいるかも、というのと、娘がそう見られたら困る、というのもあったので。なので、プレイデートする時は、そういうこちらの事情をわかってくれる人と約束するようになりましたです。
日本語でも、相手によって微妙に自分の見せる面が違ったりしますよね。楽になったり畏まったり。標準語と関西弁でも(笑) ↑に加えて、そんなこともあるんじゃないかな、と思ったりしております。


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