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【雑事】

2. 年齢ごとの壁

日本から海外に来た子供で、英語での会話がスムーズになるまでにの期間は、最低2年と言われています。
幼児期に来れば、適応するのに必要な語彙数が少ないので、より早くスムーズになりますが、それでも周囲を見てきたところでは、ざっくり平均1年半、というのが個人的意見です。

確かに早い子では、半年ぐらいで現地の子並みに英語を口にする子もいますが、実際に言葉の意味や概念まで伴ってなかったりすることも。
なので、その辺も踏まえて、2年というのは妥当な平均年数だなあ、と思うわけです。

続けて、勉強になんとかついていくのに、4~5年。
文章が書けるようになるのに、7~8年。
特に、日本語の読み書きの基礎がない段階で海外に出た幼児の場合、会話こそ流暢であっても、学年相当の読み書きの力が身につくのには、やはり7~8年はかかると考えられています。
これは、母語での読み書きの力があればあるほど、もう一言語の獲得力も増す、ということの裏づけにもなっていて、母語の確立の重要さにもつながってくるわけですが、それについてはまた別途。




米国で、”授業”が始まるのは、Kindergartenから、というのが一般的。年齢は5~6歳、というところ。
翌年にはElementary(小学校)の1年生がスタートし、以降は学区によってMiddleやJunior highなどに続き、High shcool進学。
お嬢のいる学区では、小学校が1~5年・中学校が6~8年・高校が9~12年という、5・3・4制になってます。

学年が上がるほど、勉強内容も高度になってくるわけで。英語ネイティブではない子供は、越えなくてはいけないハードルが、年々高くなり。
そのハードルの節目がある学年として、「5年生の壁」「8年生の壁」「10年生の壁」が挙げられることが多いようです。
要は、この学年の時、現地校の学習内容が一段難しくなる、という事実から、ですね。

そして、子供が幼児期からこのエリアにいる身としては、これ以前に、
「キンダーの壁」「3年生の壁」と加えたい、と思うのです。


このエリアの公教育では、キンダーガーテンが最初に入る学校であり、読み書きを習い始めるのもキンダーから。
今までは現地のお友達と、きゃー、わー、と遊びで繋がっていられれば大丈夫だったところ、今度は場面が”授業”に移り、先生が説明することを理解しなければいけない。
つまり、要求される英語のレベルが、ここで一段階上がるわけですね。

”勉強”を通じて学ぶ英語、ということで、英語嫌いにならないか、心配される親御さんもいらっしゃいますが、これはそれほど大きな壁ではありません。
むしろ真面目なアジア人は、親の手伝いも得て、きちんと宿題もやって、着実に身につけていくことが多く、自信をつけるきっかけになったりも。
なので、周囲を見てて、よりインパクトが大きかったのは、「3年生の壁」の方でした。

キンダーで基礎を作れば、1・2年生はそのままのカーブで進めるのですが、3年生になると、ぐん!と一段階難しくなるんですね。
使う語彙が、今までは遊びの世界と共通する用語で良かったところから、学習的な言葉にシフトしていく。宿題も増える。
この段階で、「家では英語環境ではない」ということが響いてくるわけで。つまり、同年代の子供と交わることで得た語彙だけでは足りなくなり、大人から投げかけられる語彙を身につけてない、ということがハンディになる段階になったわけです。

周囲で、日本人の友人達の子供の中では、それまでついていけていた授業についていけなくなった為、チューターを始めたり、学校からのお達しでESLに入ったり、という子供達が数人いたのでした。
さらにつけ加えるならば、やはり3年生ごろから、習い事をしぼって熱心に取り組むようになるので、現地校に習い事に、と忙しくなり、週末もそちらに時間を割くようになってくる為、この辺りで毎週土曜の日本語補習校を辞めたり、通信教育などの日本語教育に切り替えたり、というご家庭も多く。
改めて思い返しても、分かれ道の一つでありました。


バイリンガル、と一口に言っても、このように読み書きまで含めれば、正に千差万別の在り方で。
しかも、学校の授業についていけない、となれば、親としてはどうしても慌ててしまうのですが。

が、前回書いた通り、バイリンガル=2言語を統合した力の持ち主、でありますから。
日本語も大事に、という方針であれば、ここで日本語の会話&読み書き能力をも、同時にチェックしていく必要があるのですね。

英語が一時的にキツくなっても、日本語の方が順調であれば、能力的には問題がないということで、安心して英語のキャッチアップに邁進して。
逆に、現地校中心にしていて、日本語の読み書きをやっていない、でも捨ててほしくはない、ということでしたら、英語と同時に、日本語の読み書きを身につけるにも、大事な時期であると思います。
壁、というほどでなくとも、日本でも3年生というのは、高学年への大切なステップアップの時期であるので、この時期に読み書きの基礎ができているかどうかは、後々かなり重要な意味を持ってきます。
実際、国語も数学も、大人になって実生活に本当に役立つのは、小3までの内容、という話もあるくらいですから。

現地校が難しくなった様子であれば、補習なりチューターなり塾なり、色々と助ける手段はあります。
が、「家庭も英語環境にしなければ」と思って、家で日本語を使うのをやめてしまう・英語で話す、ということを始めてしまうことは、日本語を維持してほしいと思われるようでしたら、望ましいやり方とは言えないでしょう。

学齢期に日本から赴任してきたばかり、といったような例は除いて、基本的に英語は英語で教わるのが、長い目で見て一番効果的なやり方です。
同時に、日本語は日本語で、英語を混ぜることのない形で、家庭でしっかりキープしていくことが必要です。
ご夫婦のどちらかが英語ネイティブの方であれば、親が英語・日本語担当をきっぱり分けるのも良い、と思います。

などと言いつつ、やはり最終的に選ぶのは本人ですから、ご家庭なりのやり方と方針を模索して、ベストと思われる選択をされること。
68億人のうちの1人。それが何よりと思うのです。

(続く)
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68億人のうちの、お嬢という1人の例では。
まずキンダーの時は、英語もすでに年齢レベルであった模様で、授業も友達付き合いも、特に問題はありませんでした。いや、ありがたや、ありがたや。

4~5歳の時、そしてキンダーでの5~6歳の時、この時期はぐんと言葉が伸びる時期だと言われていますが。
その4~5歳の時に通っていたPre-Kinderで、毎日夕方までのDaycareに通っていたおかげか、ネイティブレベルの英語が身についたのは、ありがたいことでした。
また別途書きますが、勿論これは子供にもよる話で、長く学校にいればいいということではないし、短い時間しか通わなくとも、しっかり吸収する子もいますので、これは本人の性格などと兼ね合わせて考えなくてはいけないこと、と思います。

そして3年生の時も、特に壁を体験することはなく。
これには理由が2つあって、まず1つには、彼女が私立校から公立校に転校したことがあります。
公立と比べて、半年~1年進んだ授業を受けていた為、かえって授業が易しくなった、というのが実情だったのです。

もう1つは、活字中毒の本の虫であったおかげで、語彙数が年齢以上に豊富だったことが幸いしました。
実際のところ、語彙が多いだけではだめで、それを理解する為の読解力がついてないと片手落ちなのですが、どうやらこの点でもクリアしていた模様で、これまた親として助かりましたです。


こんな感じで、常に自力で壁を乗り越えてきた彼女のおかげで、母はなーーん!にもっ!英語面でのケアをせずに、のほほんと過ごしてきた、ということが良くわかるかと。
よって今では、彼女はバイリンガル。片や母はモノリンガル一直線。
やはり神様は公平なお方で、苦労しなかった人間には、与えられるものもないのですな。(よよよ)
by senrufan | 2009-05-25 12:12


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