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蒔かずに広める種もある

Arbor Day (South Korea)
Palm Sunday (Christian)

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我が家のキッチンには、家族用の小さな食卓が置いてあるのですが。
3人家族なのをいいことに、1人分の席は、すでに物置コーナーと化しており。(……)
しかも最近、その大部分を占めるのは、何やらアヤシイ瓶類です。

今ここで育成中なのは、キャベツ酵素ジュース、いちご酵母、レーズン酵母にりんご酵母種。
新顔で、アーミッシュブレッドの種の大袋も加わりまして、ちょっと気分は魔女ですか。(違)

生玄米ヨーグルトも作ってみたいし、酵素玄米にもチャレンジしたい。
野望だけはめらめらと燃え盛る発酵生活、そろそろ身体がぬかみそか納豆の香りをまとうのではないか、そんな予感がする初春です。うふっ。(死)

* * * * *

【お菓子】
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先日、近所の新しいレストランで見つけたもの。
懐かしい懐かしい、Amish Friendship Bread

これが私の周りで大流行りしたのって、確か8年以上は前の話で。
日本人の方が、ペンシルバニア州のアーミッシュ村に行った時に、このブレッドのスターター(種)をもらってきて、それが少しずつ日本人間で広まっている、という、まことしやかな噂付きだった。



その噂の真偽はおいといて、どういうものかというと。
どろっとした種を、ジップロックの大きな袋に入れておいて。
1日目から5日目までは、その袋の上から種を揉み込む。
6日目になったら、小麦粉・砂糖・牛乳を加える。
7日目から9日目は、再び袋の上から揉む。
10日目になったら、いよいよブレッドを焼く日だよ。

種をボウルにあけて、小麦粉・砂糖・牛乳を加えて混ぜ、まずはこの種を1カップずつ、ジップロックの袋4つに取り分ける。
取り分けた種の1袋は、次回用に、再び1日目のサイクルから育てていき、残りの3袋は友達に分けてあげる。そして広がる種の輪、というところから、Friendship Breadと呼ばれるんだろうね。

ボウルに残った種に、卵や小麦粉、砂糖などを色々と加えて混ぜて、型に入れて焼き上げる。
はい、アーミッシュブレッドの出来上がり。これで1サイクルの終了だ。
ということを、気の済むまで繰り返していくんだよ。


前にもらった時は、手順通り・レシピ通りにやっていて。
数サイクルはがんばったのだけど、その頃はお嬢も小さかったし、消費量が到底追いつかなくて、とうとうギブアップしたんだが。
レストランで、ラップに包まれたブレッドを久しぶりに見たら、
今なら、結構消費できる。今なら、試したい作り方がある。
そんなことをふと思って、今ならこの種が欲しいなあ、と呟いたなら。

そばにいた友人が、実は私、冷凍庫にこの種を持ってるのよねー、とさらっと言ったことに、瞬時に反応してしまったんだな。

かといって、この三日坊主ならぬ三時間坊主(…)のワタシが、果たして本当に続けていけるかどうか、うーんうーんと悩みながら帰宅して。
日参ブログさんに楽しくおじゃましている時に、なんと尊敬するNachuさんが、アーミッシュブレッドの記事をアップされていて。

これはもう、運命、としか言いようが。

背後に流れるはベートーベン。そんな瞬間でありました。


それでもしばらく悩んだ後、思い切って友人におねだりして、貴重な種を譲ってもらう。(大感謝!)
その日を1日目として、育てて育てて、つっても、実際は揉むだけでほっといて。なんて怠惰なアタシ向き。

しかし、6日目からはちとイタズラ。
ここでレシピでは、小麦粉・砂糖・牛乳を各1カップ加えるのだけど。
それを、全粒薄力粉を1カップ、甜菜糖を半カップ、豆乳1カップに変えてみた。
白かった種がたちまち茶色がかった色に変わったけれど、ぶくぶくと元気に泡も出ていたので、ひとまず安心。
そして迎えた10日目、腕まくりをして本番にのぞんだよ。

ボウルに種をあけて、レシピでは小麦粉・砂糖・牛乳を1.5カップずつ、というところ、やはり全粒薄力粉と豆乳にして、甜菜糖は半量で。ほんとは砂糖なしといきたいところだけど、ずっと室温で育てる種なので、菌の餌というだけでなく、腐敗防止の意味もあると思うので。
それを袋に取り分けて置いた後、残った種で、まずは第一弾。基本のアーミッシュブレッドのアレンジで。

レシピの卵3個は、ばっさり無視。種自体が甘いと思うので、砂糖1カップもあっさり無視。
小麦粉2カップは、無漂白中力粉と全粒薄力粉を半々。サラダ油1カップは、菜種油半カップ。
こんな感じで、あれこれと勝手にいじって、型に入れてオーブンへ。

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焼き上がって漂う、シナモンの香り。
そうそう、これだよ、この香り。シナモンやクローブ、ディル、バジル。アメリカに来てからゆっくり馴染んだ、いろんなハーブの香り。
いつか日本に帰って、ふとそれが漂えば、きっとアメリカを思い出す。そんな確信を抱くもの。

しっとりとした生地は、砂糖なしでも十分甘く、家族で1日で平らげた。
数年の間に育ったのは種だけじゃなく、私らの胃袋サイズも、だったらしい。(ちょっと涙)


さて、残った3回分の種。
誰か友達に、というのが流れなのだろうけど、作りたいものが満載なので、今回は全部独り占め。
このシナモンブレッドをもう1回作って、後の2つはどうしよう。

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1つには、絹ごし豆腐を滑らかにして、キャロブと一緒に加えたよ。
うん、こっちの方が入れないバージョンより、ふわっ、さくっ、と空気が入ってる感じが良い。

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もう1つは、お嬢の仲間うちのパーティ用。
以前に作らせてもらった、Ryoyaさんのストロベリー・ココナッツパウンドが美味しかったので、それを真似させてもらったよ。

いちごをピューレ状にして、ココナッツフレークもたっぷりと。
アメリカのパーティなので、卵もしっかり3個入れて、砂糖もがっつり惜しみなく。といっても我が家には白砂糖はないので、あくまで甜菜糖だけど。
油も規定量計って入れて、これでなんとか許されることを期待。

出来上がりは甘いけれど、甜菜糖のおかげか、私達にもキツくなく。
嬉しいことに、パーティでも全部売り切れた。(比喩です)


こんなところで終わった、第一回目。
次はりんごやにんじんのすりおろし、ドライフルーツにナッツ入り、粉も数種混ぜてみたり。やりたいことがありすぎる。
何といっても、Nachuさんレシピのパン。これが作りたくてたまらないー。

更には、種の育て方も変えてみたい。甘酒や酵母液を加えたらどうなるか、とかね。
あれこれやりたいことを数えてみると、今度は数サイクルでは終わらなさそうな。
発酵生活、発酵道。拙い歩き方ではあるけれど、よちよちと進んでいく予定。気分は「良い子の理科」である。


問題は、これだけ種をいじってしまうので、到底人様にはあげられない、ということか。
……Friendship Breadは返上して、Otaku Breadと呼ばなきゃいかんかも。(いやだああぁぁ)


※ちなみにこの種が欲しい方、わざわざペンシルバニアまで行かなくとも、こちらのレシピで作れるみたいです。
by senrufan | 2009-04-05 10:23


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