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歯か顎か

歯医者にて、定期健診&歯のクリーニング。
普通はクリーニング専門のドクターがやるんだけど、今日は主治医が全部担当してくれた。このドクターは、歯だけにとどまらず、全身にわたって問題を考えようとしてくれて、更に毎回色々と仕入れた新しい知識を披露してくれるので面白いのである。

私はいわゆる顎関節症というやつで、あくびをするのに一々顎をずらさないと口を全開できないという体質の持ち主である。
無意識に怠ると、顎が途中で止まって鼻からあくびの息が抜けて大変不快である、ということはこの際どうでもいい。
とにかく定期健診の際、ドクターは絶対私の骨を診るのである。

両側の顎間接のチェック、首や背中の骨のチェックもやってくれた後、「ちょっと実験しましょう。壁に背中をつけて立ってみて」と言われた。
背中をつけてまっすぐに立ち、小さい前まらえのポーズをとると、ドクターが私の両手を外側から押し、私は力をこめて動かないように抵抗する。
ぐぐっ、よし、動かない。勝った。いやそうじゃなくて。
次に、背中を壁から離して同じことをやってみる。今度は左腕がいとも簡単に押されてしまう。あれ?
その次は、両腕を斜め上方にそれぞれ上げ、手の甲を前に向ける。ドクターが腕を下に押し下げようとして、私は抵抗する。動かない。
だが、ドクターが私の両腕の肘から先を軽く数回撫でた後、またやってみると、またまた左腕がいとも簡単に負けてしまうではないか。なんでー!?

説明によると、そういう形で腕が動いてしまう人というのは、体のどこかのバランスが悪い人なんだそうだ。
つまり、知らない間に、体のどこかに変な負荷がかかってしまっているということだね。
それが大きいか小さいかまではわからないが、積もり積もっていつか体のどこかに故障が出る可能性があるわけで。

で、ドクターが私の口に大きなへらを入れて左側の奥歯でぐっと噛んだところ。なんとまたびくともしなくなったよ。これまたなんでー!?
噛みあわせ・顎の形を整えることで、体全体のバランスまで変わってくるのは知っていたけど、身をもってわかっちゃいました、先生!

顎関節症がポピュラーになって10数年ぐらい経つと思うが、実は未だに決定的な治療法はないらしい。
とりあえずできることは、やはり予防しか。
ドクターが薦めたのはナイトガード、つまり夜寝ている間、口の中で、上顎下顎それぞれにカバーをかぶせて、これで歯軋りや食いしばりを減らすわけだ。
人間は始終顎を使っている。唾液を飲み込むだけでも、一日300回以上とか。これに食事やおしゃべり、あくびなども加えていくと、実は休まる暇のない器官だということがわかる。
かといって、とりはずして休ませたり入院させるわけにもいかず、結果、顎の関節部のディスク(皿)がすり減って、取り返しがつかなくなる。

……というのが、ドクターが私に語って聞かせた恐怖物語。いや、脅迫文だな、この場合。

結局、このナイトガードなるものを作ると、多分保険はきかないので、$600~700ぐらいの出費になるらしい。
アメリカは歯科技術が日本より数年進んでいるので、滞米中に、とガンガン治療したんだよなー。自費負担分は累積でかなりの額。
これで更にひとがんばりするか、それとも聞かなかったことにして、大丈夫だと信じ込むか。
私のことだから、きっとこのまま日々に取り紛れて、気がついたら半年後の定期健診だったということに1000点。

ちなみに、オリンピック級の選手に上の実験をしても、どうしたってびくともしないらしい。体のバランスはさすがのオリンピア。
問題は精神と肉体のバランスだなどとふいていた私の牙城は、すでに崩壊状態にある。
by senrufan | 2004-07-20 14:08


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