その宝が輝くべき場所は

National Mourning Day (Bangladish)

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【アクティビティ】
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私が日本語を教えている、韓国人のおばさま。
サンフランシスコのAsian Art Museumで、ボランティアとして働いていらっしゃいます。

この美術館では、3ヶ月ごとぐらいに新しい展示会を開いてくれるのですが、昨年10月下旬から1月下旬まで、アフガニスタン展が開催されていて。
私がその展示会についておばさまにたずねたところ、良かったら案内するわよ、と優しいお言葉をくださったので、喜んで行ってきたのであります。

しかし、展示会の開催日時をご覧になればおわかりの通り、それはすでに今から1ヶ月以上前のことでありました……(くらくら)
このカラッポ脳みそ、今ではほとんど記憶も定かではなく。それは正にアフガニスタンの砂漠に立ち現れた、蜃気楼のごとく、でありまして。
せめて行ったという記録ぐらいは残しておきたく、概略のみの記録でございます。




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アフガニスタンの首都カブールにある、National Museum of Afganistan
今回の展示会は、この国立美術館から約200点の作品を借り出し、米国内を巡回する、という形のものでありました。

この場合の作品とは、遺跡から発掘された財宝です。
1979年のソビエト侵攻の際に破壊されたと信じられていた、これらの財宝でしたが、2003年になってから、カブールにある大統領宮殿の金庫の中で発見されたのです。
紀元前2,200年から紀元200年までという、広大な期間に渡っての財宝は、以下の遺跡から発掘されたものです。
1. Bactra
2. Tepe Fullol
3. Ai Khanum
4. Tillya Tepe
5. Begram

古代のものらしく、青銅や石灰岩でできた彫刻や壷、または象牙やガラス製のものも多数ありましたが。中心となっていたのは、黄金製の彫刻や装身具の数々です。

特に、北部アフガニスタンにあるTillya Tepeの遺跡。古代Bactra王朝の墓が6墓発見された場所から掘り出された、ブレスレットやベルト、剣や王冠。
ごくごく薄く叩きのばされたであろう小さな金片を、多数つなぎあわせたそれらは、細かいなんて言葉では表せないほどの見事さ。
そして、ところどころに散りばめられたトルコ石の軽やかな水色が、金とマッチして大変美しい出来でした。

このエリアの古代文化については、シルクロードを抜きにしては語れません。
アフガニスタンがシルクロードの中央に位置していたことで、様々な交易上の繁栄があっただけではありません。
ローマ、インド、ペルシャ、中国、そしてシベリアに至るまで、他国文化の影響がはっきりとうかがえる作品が残っています。

中国の影響を受けた陶磁器、インドを思わせる仮面や仏像。ギリシャやエジプトからかと感じる彫刻類。
かつてあった、シルクロードという名の道ならぬ道は、都市を繋ぐ輪であり、貿易の交点であり、キャラバンが水を求めるところであって。
人が移動し、集まる場所で交わされた、会話と物のやりとりが、決して金銭面だけにとどまることがなかったことを、これらの財宝が身をもって示してくれるのです。


今回の米国での展示会は、National Geographic Societyが、アフガニスタン政府との間で契約したことによって、実現したものです。
その際の100万ドルという契約金額について、少々の議論もあった模様。つまり、度重なる戦乱で疲弊したアフガニスタンの貧しさ、文化遺産が被っている損害を考慮すると、これでは少ないのではないか、ということで。
しかし主催者側、そしてアフガニスタン側の談話によれば、
「金額は問題ではありません。これは商業的な展示ではないのですから」
とのことなのですね。

元々私がこの展示会を見に行きたい、と思ったのは、おばさまから聞いた話がきっかけでして。
展示の準備に追われる中、おばさまがアフガニスタン側の担当者と話した時、その人が涙ぐみながら言っていた、という言葉。
「タリバン達のせいで、随分と貴重な宝物が失われてしまったの。だからこの展示会は私たちにとって、宝物の救出を意味してるのよ。一人でも多くの人に見てもらって、この美しい姿を、少しでも記憶にとどめてほしいのよ」

彼女の切実な願いに応えたくとも、見たのがこんな「穴しかねえよこのノーミソ」ヤロウじゃ、到底詳細までは記憶に残せなかったのですが。(すみません、すみません) いまだその装身具の金の煌きは、確かに一部細胞に焼きついたままで。
アフガニスタンのニュースを見るたび、胸が痛んでいたものでしたが、これからは更に平静ではいられないような、そんな重さが胸に残っています。


Afganistan:Hidden Treasures from the National Museum, Kabul
October 24, 2008 - January 25, 2009

Asian Art Museum
200 Larkin Street
San Francisco, CA 94102
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おばさまの案内で、常設展示場もざっと鑑賞。
数回目になりますが、何度見ても新しい発見が。そらそうだ、だって見ているのがアタシ@穴ノーミソ、だから。(いばるところ)

お金持ちでいらっしゃるおばさまご夫妻は、この美術館にも多額の寄付をなさってまして、美術館入り口にある援助者の掲示板に、しっかりPatronとしてお名前がのっているのですが。
実は美術品そのものでも、数点寄付や貸し出しをなさってることを、改めて教えていただいてびっくり。
ご自分のものである美術品を指し示しながら、作製したアーティストについてや購入にあたってのエピソードの解説付きという、なんとも贅沢なひと時を過ごしたのです。


一通り回った後は、カフェテリアでランチなど。ここのカフェは美味しいので、楽しみにしていたのですが。
ランチタイムの行列の後ろに並ぼうとしたら、おばさまがそのままずんずんと奥に入っていかれるので、慌てて後を追ったのですね。
通り過ぎざまにウェイターさんをつかまえて、何やら言いつけた後、木製の重そうな扉を開けて、とあるお部屋にご案内。

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えーと、なんでしょうか、この落ち着いたたたずまいの閑静なお部屋は。
素人目にも、お金かかってるぞ、とわかる内装が美しいんですが。

こちら、美術館のVIPだけが利用できるお部屋、なのだそうで。
なんとか氏が1億円かけてこの部屋を作ってね、
先日はここでうんたらかんたらのパーテイがあってね、
そんな、普段縁も所縁もないお話を、呆然と聞いていたド庶民のアタクシ。椅子に座ることさえ躊躇しちゃったり。だって、身体に触れていいのかこれ。

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やがて入ってきたウェイターさんに、食べ物のオーダーを。カフェメニューからだったので、ちょっとほっとしたりして。

以前、なんでそんなに細いの、と私に向かっておばさまがおたずねになった時、とりあえずベジタリアンということを話したせいか、おばさまがオーダーしたのは、私と同じく、Thai Green Papaya Salad
「野菜がいっぱいでヘルシーね!」と喜んでいらっしゃいました。
その笑顔を見てたら、私は今はかなり肥満です、とはとても言い出せませんでした……

その代わり、入場料もランチも、おばさまにおごっていただいたことを、ここで告白しておきます。
「次に興味のある展示があったら、また一緒に見ましょう!」
と言っていただいて、思わずにんまりしてしまったことも、ここで告白しておきます。
いやあ、どうしよう、次もまたおごってもらっちゃったらまずいよねえ。(満面の笑み)

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by senrufan | 2009-02-21 08:40 | Trackback | Comments(8)
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Commented by peartree22 at 2009-02-23 18:13
まぁ、なんて素敵なおばさま!(浅ましい、私・・・)
こほ。いえ、でも美術館でその持ち主から直接、その購入した経緯などまで話が聞けることってめったに(私なんて一生)ないことでしょう。
Miyukiさんのお人柄におばさまも惚れていらっしゃるのですね。きっと。
新しい大統領になって、アフガニスタンのことだけでなくイスラム社会との関係が少しでも改善されることを祈らずにはいられません。
美術品が戦争などによって壊されるのも、人類にとっては大きな損失ですものね。お互いの文化や美術に敬意を払うことも平和への一歩かと思います。
Commented by Miyuki at 2009-02-24 10:11 x
はい、とっても素敵なおばさまなのです!(力いっぱい) 昔色々ご苦労されたようで、お金持ちになった今でも、その気持ちを忘れてなくて、ほんとに優しい方なのですよ~。あんなおばさまを生徒さんにもてるなんて、幸運なんてもんじゃありませんね。
文化に対する敬意まで遠くに置き去りにしてしまう、それが戦争というものなのでしょうが、逆にそういう気持ちを持ち続けていれば、戦争という道に踏み入ることはないはずなのに、と切実に思うです。おっしゃる通り、相手への敬意が前提にあってこそ、ですね。
Commented at 2009-02-24 10:17 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by senrufan at 2009-02-24 14:58
*非公開コメントさま
初めまして! とても嬉しいコメントをありがとうございます~!
そうでしたか、私も彼女からうかがってます~。いつかお目にかかれたらいいのに、と願っていたので、本当に思いもかけない喜びでございますvv 後ほどメールさせてくださいませ!
Commented by マミィ at 2009-02-25 02:42 x
アフガニスタンの秘蔵よりも何よりも、このシックなお部屋でおばさまと頂くタイ・グリーン・パパイヤ・サラダのお味が気になる私って・・・あぁ!(反省5%+部屋への憧れ30%+サラダへの思い65%)



Commented by Miyuki at 2009-02-25 13:01 x
*マミィさん
いやいや、お気持ちわかりますぞ。私こそ、アフガンの宝に感動したくせに、あの部屋に入った途端、どっかに感動がふっとんでしまったヤロウでございますからして。5+30+65って、えーとえーと(さらに台無し)
Commented by まきりん♪ at 2009-02-25 13:12 x
アフガニスタンの秘蔵って私の想像をはるかに超えたもののようです~
そして、お食事の素晴らしいこと!
そこだけでもご一緒したい・・・
Commented by senrufan at 2009-02-26 14:13
*まきりんさん
はい、私の想像も超えてました! いやもう、すんごく細かくて、ミニサイズの精巧な金彫刻も溢れててびっくりしました。
私もまきさんとお食事したい~~(指くわえ)


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